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第53話 白い空間(2)

 目が覚めると、白い空間にいた。

 真っ白な空間。

 前に一度だけここに来たことがある。


 「目覚めましたか。お久しぶりです」


 後ろから女性の声が聞こえた。

 振り向くとそこには、椅子に座り、右手にティーカップを持った、背中に白い翼の生えた女性がいた。

 

 この前会った人だ。

 名前は…教えてもらってないから知らない。

 

 黒い翼の男性はいなかった。

 彼女1人だけであった。


 「どうぞ、席に」


 そう言われ、俺は彼女の向かい側にある空いた席に座った。


 「この前一緒にいた男性の方は?」

 「彼は別件のためここにはいません」

 

 別件…?

 

 「またここに呼んだ理由はなんですか?」

 「少しお話をと」

 

 女性は持っていたティーカップを机に置いた。


 「マシュラと会うとは、運が悪いですね」

 「マシュラ…?」


 って誰だろうか。

 ……あ、まさか。


 「机をぶっ飛ばした人の名前ですか?」

 「? そうですよ。

  彼女、名前を…ああ、その時あなたは気絶していましたっけ」


 そうだ。

 俺はあの時、勢いよく迫ってくる机を避けることができず、ぶつかった。

 ていうかぶつかる直前で意識が途切れた。


 「今は気絶しながら埋まってますね」

 「埋まっ…えっ何があったんですか?」

 「まあいろいろと。お仲間の方も埋まってますね」


 本当に何があった。

 何に埋まってるんだ俺は。

 お仲間もっていうことは、バルザックとスキャルも埋まってんのか?


 「まあそれは置いておいて」


 置いてかれた。

 勝手に置いてかれた。


 「あなたが持つ能力について、少しだけお話を」

 

 能力…?

 電気を出す能力のことか?

 何か知っているのだろうか。


 「その能力、上手く使いこなせてませんね」

 「上手くって…。上手く使いこなすっても、どうすれば良いのか分からなくて困ってますよ。

  得体の知れない能力ですし」

 「それは言われてみればそうですね」

 「…ひとつ聞くんですけど、この能力について何か知ってることでも?」

 「ええ、知っていますよ。

  ただ私の口からは言えません。

  彼から『私たちが教える必要はない』って言われてますからね」


 彼…黒い翼の人か。


 「けど、一つだけアドバイスを。

  その力はただ撃つのではなく、全身に巡らせてみてください。

  血液みたいに、です」

 「は、はあ…」


 言っている意味はよく分からないが、とりあえず相槌は打っておく


 「聞きたいんですけど、身体が再生するのにも何か理由が?」

 

 身体の再生。

 恐らくこれは電気の能力と一緒に来たと思う。

 そうでなければいつ再生能力なんか手に入れたのか説明ができない。


 「…以前ロトスマグナが言っていた言葉は覚えていますか?

  『処分用を…』と」

 

 処分用。

 覚えている。2度目の戦いでロストマグナがそんな言葉を言っていた。

 その処分用というのが理由なのだろうか。


 「彼が言っていた『処分用』というのはある薬のことです」

 「薬?」

 「ええ。液体でできた薬です。

  前に2人組の子供と戦いましたよね?

  あの時にその薬を飲まされ、あなたは運良くその薬に適応したんですよ」

 「適応?」

 「ええ。そしてその結果、電気の能力、再生能力、強化された肉体を手に入れたわけです」


 ぐっ、ますますよく分からなくなってきた。

 いや、落ち着け。


 とりあえずこの力はその薬のせいで、その薬は適応すればなんか凄いパワーが得られるってことか。

 うんそういうことだな。


 「…ま、詳しい話はロストマグナに直接聞いてください」

 「俺とあいつは敵同士ですよ」

 「大丈夫です。教えてくれます」


 本当だろうか。

 ま、次会った時は聞くだけ聞くか。


 「あ、すみません。

  聞いておきたいんですけど、あなたと男性の方の名前ってなんですか?」

 「…私の名前はカーム。彼の名前はデライトです」


 デライトとカーム…。よし、覚えておこう。


 「さて、そろそろお目覚めの時間です」


 白い翼の女性ーーカームが指をパチンと鳴らした。

 それと同時に、あの時のように、後ろに引っ張られる感覚が起きた。

 そして意識が途絶えていく。


 「これは一つ忠告ですが、気をつけてくださいね」


 完全に意識が途絶える前に、カームの言葉が聞こえた。


 「ロストマグナだけじゃないですよ。

  あなたが今後戦っていく強敵は」


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