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ヒーローズ•オブ•アルメリアス  作者: とりぷるとろわ
第1章 アルメリアス
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第5話 平和は崩れる

 

 「はぁ〜…」

 

 テラスさんと朝食を食べていると、何やらテラスさんがぐったりしている。

 朝食が美味しくできなかったのだろうか。いや、朝食はいつもと同じで美味しい。


 「テラスさん。何かあったんですか?」

 「昨日ね、魔法陣が描けたの。それでちゃんと魔力が流れるかテストしたら、流した瞬間魔力の流れが止まったの…」

 「もしかして線が歪んでいたんですか?」

 「多分ね…。一発で成功するのは無理だって分かってはずなのに、また一からやり直しだから疲れるわ…」

 

 確か魔法陣を描くのに1ヶ月ほど掛かっていたから、次の魔法陣も1ヶ月は掛かるってことか…。気が遠くなりそうだ。


 「テラスさん、一度休憩しましょう。体調を崩してしまいますよ」

 「そうにもいかないわ…。貴方をこの世界に呼んだのは私だし、貴方はあっちの世界での生活があるから早く帰さないとダメでしょう?」

 「でも…」

 「私もイズミ様に賛成ですね」


 突然ケルさんが現れた。


 「主人様は一度休憩するべきです。ですよね、イズミ様」

 「そうですよ。テラスさん、朝食が終わった後は外に出てリラックスしましょう」

 「分かったわ…。朝食が食べ終わったら外に出ましょう」


---



 朝食を食べ終え、外に出る


 「何をやるんですか?」


 外に出て何をするんだろうか…。運動か?いやそれだと休憩の意味がないな…。


 「よいしょっと」


 テラスさんは突然草原に寝っ転がった


 「ほら、イズミくんも」

 「えっ、あっはい」


 俺も草原に寝っ転がった。

 日差しがとても暖かい。そして海と風の音。とても落ち着く。


 「どう?」

 「とても良いですね。ベッドで寝る時よりもリラックスしますね」

 「そうでしょ?私は疲れた時はこうやって疲れをとってるの」


 草原で寝っ転がって疲れをとる…。初めての経験だ。


 「イズミくん…。この世界での生活は楽しい?」

 「え、まぁ。あっちの世界には無いものがあったり、漫画のような世界なので多少は楽しく感じますね」

 「……イズミくん、もしよかったらこの世界に…!? 危ない!」

 「えっーー」


 突然テラスさんの風魔術で吹き飛ばされた。

 俺は受け身をとって着地し、テラスさんの方を見る。

 次の瞬間



 ドゴォォォン!!!



 大きな爆発音と地響き、衝撃波が起きた。

 土煙が衝撃波によってこちらまで吹いてきた。

 俺は反射的に目を閉じる


 「何が…!?」


 爆発音が起きてから数秒後、目を開けて先程までいた場所見るとテラスさん……と巨大な怪物がいた


 「なんだ…あれ…」


 怪物はミノタウロスのような顔をしていて、大きな翼と鋭い爪が生えていた。

 そして人を軽々と潰せるような力を持っていると思わせるほどの筋肉。

 見ているだけでも気絶しそうだ。


 「久しぶりだな。テラス…」


 …!?

 怪物はテラスさんを知っていた。

 一体何者なんだ…。


 「テラス…、いや、それとも()()()()で呼んだ方がいいか?」

 「その名は捨てたわ」

 「そうか」


 テラスさんは怪物から少し離れた位置にいる。

 俺を吹き飛ばした後、すぐさま自分も回避したのだろう。

 

 「テラスさ…」

 「イズミくん、その場から動かないで」


 テラスさんは怪物の方を見ながらそう言った。


 「久しぶりね……ロストマグナ…」

 「テラスよ。俺が何故ここに来たかは分かっているか?」

 「分からないわね…」

 

 2人は会話を始めた。俺は2人の会話を黙って聞く。


 「テラス…お前はあのお方を裏切った。我らを救ってくれたあのお方を」

 「…」

 「答えろ、何故…何故裏切った」

 「ロストマグナ。私はね、もう諦めてるのよ」

 「なんだと?」

 「あの男のあの強さ…。あれはもう…勝てないわ」

 「…なぜそう言える」

 「だってそうでしょ。あの男との戦いで傷を負い、力の殆どを失った。多分あの2人もそうでしょうね。力を殆ど失って私は理解したの…次はもうない、とね」

 「だが、奴も傷を負った」

 「それでも負けるわ。そんな気がするの」

 「テラス…貴様」

 「もし仮に勝てたとしても、その後はタコ女にやられるわ…。あいつに勝てたことある…?」


 2人は一体なんの話をしているのか俺には分からない。

 あのお方、あの男…一体何を話しているんだ…。


 「テラス…俺は待った。お前がこちら側に戻ってくるのを待っていたんだ」

 「あら、上手く隠れていたと思っていたのにバレていたのね…いつから私を見つけたの?」

 「さあな、覚えていない。それでテラス、俺は待った。お前が考え直してこちら側に戻ってくると思って待っていた。だがもう時間切れだ。死ね」 


 怪物は一瞬でテラスさんの目の前に移動した。

 テラスさんは魔術を使おうとしたが──


 遅かった。



 「グッ…!!」


 怪物の腕はテラスさんの心臓を貫いてた。


 「テラスさん!!!」


 怪物は腕を引き抜くと何か手に持っていた。

 心臓ではなかった。翠玉色の結晶のようなものだった。


 「貴様…!! よくも主人様を!」


 怪物が腕を引き抜くと同時にケルさんが飛び出し、怪物に噛みつこうとした。

 だが次の瞬間ケルさんの体が真っ二つに割れた。

 怪物は噛みつかれる前に手刀を放っていた。

 ケルさんの身体は、ベチョ、という音を立てて地面に落ち、その後灰になって消えた。


 「こいつがお前の使い魔か…? ふん、俺の速さについてこれず、主人がやられた後に飛び出すとは…。弱い使い魔だな…」


 俺にはもう何がなんだか分からなかった。ただその場で立っている事しかできなかった。


 「さて、次は」


 怪物はこっちを見た。

 俺は逃げなければ、と思った。

 しかしどうやって逃げる。そもそもあの怪物から逃げ切れるのか。逃げた瞬間、殺される以外ない。

 そう考えてると、怪物はどんどん近づいてきた。

 

 あぁ…もうダメだ…死ぬ…。


 俺は諦めた。助かる道はもう──


 

 「!?」


 

 怪物が突然空の方を見ると同時に後ろに下がった



 ズガァァァン!!!



 怪物の目の前に大きな岩の槍が降ってきた。

 なんだ。今度は一体何が。


 俺は槍が降ってきた方向を見ると空に1人の女の子が浮かんでいた。

 白いロングヘア、綺麗な肌、以前見た時は片眼鏡をかけていたが今はかけていなかった。

 あの人は…




 「お前、私の弟子に何をしている…」





 マナギスタ・エルメス・ヴァイスルナだった。


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