表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/66

第48話 寄り道へ

 俺たちが転移したのはグルバルタにある大昔に魔族が使っていたとされる遺跡であった。

 なぜそんなところに飛ばされたのかは分からないが。


 「地図によると、ここから南の先に天空塔があるわ」


 地図を見ながら、マナがそう言った。

 

 俺たちは今、魔族領の砂漠地帯にいる。

 魔族領は三つのエリアに分類される。


 地図から見て左側から順に、

 魔王が住む城や城下町、村が密集している『生活区域』

 今俺たちがいる『砂漠区域』

 魔物などが大量に生息している『魔生区域』


 砂漠区域には昔、祭りごとや儀式などに使われる建物が沢山建てられていたそうだが、数百年前に生活区域に移転され、現在では使われなくなっている。

 魔生区域には竜やアンデッドといった危険な魔物が生息しているため、魔王軍の一部の戦力が警備している。

 生活区域は…とくにこれといった特徴はない。

 国民が生活している場所ってぐらいしかない。


 「ここから天空塔までにはだいぶ距離があるけど、そこまで時間がかかるわけでは…ってバルザックなにしてるの?」


 気がつくとバルザックがなにやら慌てた様子で立ち去ろうとしていた。


 「目的地について話すのは後だ。

  ここ立ち入り禁止区域になってるから見つかったらヤバい」

 「「「「えっ」」」」


 その言葉を聞いて全員が驚いた。

 慌ててバルザックについて行く。


 「立ち入り禁止区域ってどういう事よ!?」

 「いやさっき言った通り、これ大昔にあった遺跡の跡地だよ。そんで重要文化財に指定されてるんだよ。あと魔王軍が管理してる」

 「なんでそんなところに飛ばされるのよ!」

 「知らん!オレに聞くな!」

 「2人とも静かにして」


 口論しそうになるバルザックとマナを抑える。


 バルザックが曲がり角を覗き込む。

 すると。


 「…あれ?」

 「どうした?」


 バルザックの声に思わず反応して俺も曲がり角の先を見る。

 しかし何もなかった。


 「おかしいな。確かこの辺に兵士が警備として立たされてるんだが」

 「便所にでも言ってるんじゃない? 居ないってのなら今のうちに逃げるわよ」


 忍足でそそくさとその場から立ち去った。


ーーー


 「マーダハ城に寄りたい?」

 「ああ。少し調べ物があってな。天空塔に寄る前に済ませておきたい」


 遺跡から立ち去ってから数分後、バルザックがそう言った。

 話を聞くとバルザックは、以前俺たちを襲ったロトスの転移魔法陣によって飛ばされた先で戦った敵から、回収した物があるという。

 それはどうやら魔王軍のある部隊が身に付けていたバッジみたいなものらしく、それには名前が刻まれていた。

 名前は『ダンゾウ』

 そのダンゾウについて調べたいらしく、マーダハ城に寄りたいそうだ。


 「でも、手紙の主を待たせるわけにも行かないでしょ?」

 「いや、よく見れば手紙には"できるだけ早く来てほしい"って書いてるだけで、指定された期日がない。

  ならすぐに行かなくても大丈夫だ」


 確かにバルザックの言う通り、あの手紙には期日が書かれていない。

 だが、俺的には早く手紙の主に会いたい…が、用事あるってのならそっちを優先したいな。

 

 その後いろいろ話してマーダハ城に行くことが決定した。


ーーー


 城下町に着くまでの間に、これといった出来事がなかったので割愛する。

 

 城下町に着くと門には警備兵が立っており、通行人の所持品検査などをしていた。


 「はい問題ありませんね。許可します。

  次の方どうぞ」


 列に並んでから30分ほど経って、ようやく順番が回ってきた。


 「ではまず貴方から…バルザック殿!?」


 すると所持品検査をしていた門番の1人が驚いた。

 まあそりゃ驚く。元五大魔将軍のバルザックが来たんだ。驚かない方がおかしい。


 俺はバルザックの荷物検査が終わるのを待ちながら、2人の会話を聞く。


 「お久しぶりです。今日はどのような要件でこちらに?」

 「調べ物があってな。マーダハ城に行きたいんだが、構わないか?」

 「それはスキャル様に聞かねば分かりません。一応連絡は入れておきますので、城門までお越しください。

  ところで、そちらの方はお連れの者ですか?」

 「ああ、今は一緒に旅をしてる仲間だ」

 「なるほど。

  荷物検査の方は問題なしです。どうぞ」

 「いつもご苦労様だ」

 「いえいえ。仕事ですから」


 その後、俺たちも無事荷物検査を終え、城下町に入ることができた。

 けど、武器とか持ってたけどよく入れたな。

 大丈夫なのだろうか?

 

 俺はバルザックにその事を聞いた。


 「一応武器の持ち込みは、犯罪歴のないやつだけ持ち込みが許可されてる。

  それに、街には沢山の兵士が常時巡回している。

  問題を起こそうと思うやつなんて、まぁいないな」


 なるほど。それで持って入れたのか。

 

ーーー


 城下町には、今まで見てきた国と同じで、宿屋や冒険者ギルド、露店などがいっぱいあった。

 どこの国も賑やかになっているのは平和でいいな。


 その後、少し歩いてマーダハ城の門にたどり着いた。

 

 門の前には門番が2人と、その2人のリーダーだろうか。

 何やら一際目立った鎧を身につけてる兵士がいた。

 

 「お久しぶりです。バルザック。

  お元気でしたか?」

 「ああ、元気だぜスキャル。

  久しぶりだな」


 どうやらこの兵士はスキャルという名前らしい。

 けど、以前どこかで聞いた名前だな。


 「紹介するぜ。こいつは五大魔将軍のスキャルだ」


 ……兵士じゃなかった。物凄い役職の人だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ