第38話 手紙
目が覚める。
まだ夜だ。
体はなんともなかった。
あちこち触ったが傷はなかった。痛みもなかった。
おかしい。俺は確かにあいつの攻撃を至近距離で受けた。
なぜ無傷なんだ?
「おっ、目覚めたか」
バルザックの声がしたので後ろを見ると、バルザックとアルスさんが焚き火をしていて、マナとリエナは夜食を作っていた。
なるほど。そうか。
「夢か」
「夢じゃないわよ」
マナが俺の言葉に被せて言った。
「…じゃあなんで飯作ってるんだ」
「腹減ってる以外にあるか?」
バルザックが、そりゃそうだなと思う言葉を返した。
ーーー
「皆、注目」
そう言いながら、マナは1枚の紙を出した。
「それは?」
「私たち宛の手紙よ。目が覚めたら近くに置いてあったの。私はすでに読んでるから皆で見てちょうだい」
紙を渡されると、全員で読んだ。
『初めまして、私はロストマグナと敵対している者だ。
あまり長くは語りたくない。単刀直入に言う。
君たちがまだロストマグナと戦う意志が残っているなら、この手紙の1番下に書かれている場所まで来い。
そしてそこまで来たら試練を与えよう。
それを突破できたなら、君たちを協力者として迎え入れよう。
もし戦う意志がない、または試練を突破できなければ、今回の件に関する全てを、君たちの記憶から消す。
以上だ。もし来るのならこちらとしては早く来てもらいたい。あまり時間をかけたくないのでね。
指定の場所【ミラマレス遺跡の地下5層】』
「皆読んだ?」
マナの問いに俺たちはコクリと頷いた。
「これ食べ終わったら、すぐに行くわよ」
…。
……。
………。
え?もう?
第5章 ロストマグナ 完




