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ヒーローズ•オブ•アルメリアス  作者: とりぷるとろわ
第5章 ロストマグナ
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第34話 火蓋

 深夜になり、俺たちは指定された場所まで向かった。

 月の光が思っていたより強く、火の灯りがなくても周囲の景色が問題なく見える。


 

 着いた場所は遺跡だった。

 ここはなんでも大昔、重要な儀式を行う際に使われていた場所らしい。

 しかし、今はもう使われていないせいか、ほとんど崩れている。

 天井と壁はもう無い。

 残っているのは、儀式を行う為の大きな祭壇場と、遺跡の外に建てられていた8つの大きな柱だけだ。

 

 祭壇場に上がると、ロストマグナが腕を組んで立っていた。



ーーー



 少し前のこと。


 「わるい。もう一回言ってくれねぇか?

  なんだっけその、カタス、カタ…」

 「破滅(カタストロフ)衝撃(•インパクト)よ」

 「ああ、それだ。その技は絶対に気をつけなきゃいけないんだったよな?どうしてだ?」

 「私の三重結界を破ったからよ」


 マナがそう言うと、アルスさんが驚いた。


 「本当か? 三重結界を?」


 すると、バルザックが眉をひそめた。


 「なんだ、その三重結界ってのは」

 「マナのオリジナル魔術だよ。

  三重結界はその名の通り、3つの結界を張る魔術さ。

  1枚目は物理防御に特化した結界。

  2枚目は魔術防御に特化した結界。

  3枚目はその両方を兼ね備えた結界さ。

  この結界は1枚だけでも破ることはほぼ無理さ。結界の強度は、発動時に使われた魔力の量で決まる。彼女の莫大な魔力量なら、どれほどの強度かは想像できるだろ?」

 「なるほどな」


 あの結界そんなに凄いものなのか。

 あの時あれがなかったら、俺とマナは死んでいたかもしれないな。


 「イズミ。ちょっといいかしら?」


 するとマナが立ち止まった。


 「どうした?」

 「恐らくロストマグナ(あいつ)は、あなたが謎の力を持っていることを知らない。つまり…」

 「不意打ちができるってことか?」

 「そういうことよ。

  いい? あなたは戦闘が始まったらバレないように力を溜めなさい。そして、ここだっていうタイミングでロストマグナに撃ってちょうだい。

 できれば頭か心臓を狙ってくれると嬉しいわ」

 「うまくいくか…?」

 「…そうなるように頑張るしかないわね」



ーーー



 「来たか。ではさっそく始めるか」


 ロストマグナが構えた。

 

 「その前に聞きたいことがあるわ」


 マナが前に出た。

 ロストマグナは構えを解き、頭をポリポリとかいた。


 「なんだ?」

 「なんでテラスを殺したの?」

 「…言わなきゃいけないことか?」


 「言え」


 その一言で、ロストマグナの表情が険しくなった。

 鋭い眼光でマナを睨んでいる。

 

 「……アイツが裏切り者だからってのはあるが……これ以上見たくなかったからだ。

  アイツはな、昔はあんなやつではなかった。

  常に冷静沈着で、実力は俺よりも…そこにいるボルドスよりも上だった」


 ロストマグナが顎をクイッと横に向けて動かした。

 動かした方向を見たが、柱があるだけで誰もいない…いやいた。

 暗くてすぐには分からなかったが目を凝らしてみれば1人誰かがいるのが見えた。


 濃い紫色の鎧を身につけた者が1人。柱にもたれかかって立っていた。

 はじめまして、という風にこちらに手を振っている。

 

 「今回は仲間を連れてきたってことね」

 「アイツはお前たちとの戦いには参加しない。気にするな。

  話を戻すぞ」


 俺はロストマグナの方へ視線を向き直した。


 「アイツ…テラスは()()()()以降、臆病に、そして弱くなった。俺ごときに殺されるほどにな。

  長い間、各地を転々としてあの男から逃げ続け、そして何をとち狂ったのか、そこにいるガキを異世界から呼び出した。

  …これ以上見たくなかったんだ。アイツの変わり果てた姿をな。だから殺した」

 「……」

 「以上だ。これで満足か?」

 「ええ、それで結構。それじゃあいくわよ」

 

 マナが構えた。

 それと同時にロストマグナも構えた。

 

 「いつでもこい」

 

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