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ヒーローズ•オブ•アルメリアス  作者: とりぷるとろわ
第1章 アルメリアス
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第3話 カレマ町


 仮眠を終えて一階に降りる。

 キッチンでテラスさんが夕食の準備をしていた。


 「テラスさん、少しいいですか?」

 「ええ、いいわよ。何かしら?」

 

 テラスさんは手に持っていた食器をテーブルに置いた。


 「明日外に出かけたいんですけどいいですか?昨日外に出た時に町が見えたのでそこに行きたいんですけど」

 「カレマ町のことね。いいわよ」


 あの町はカレマ町というらしい。天空塔や死霧と違って普通の名前だ。


 「明日出かける時に護衛の使い魔を出すわ」

 「分かりました」


 会話を終えると俺はテラスさんと一緒に夕食を食べた。

 それにしてもテラスさんの料理はとても美味しい。お店で出したらあっという間に人気料理になると思うぐらいだ。

 

 夕食を食べ終えた後は風呂に入ってベッドでゴロゴロしながら眠気が来るのを待った。それにしてもまるで自分の家のように過ごしている。この家の生活に慣れすぎたかな。この世界に来てからまだ1週間ほどしか経っていないのに…。


---


 いつのまにか寝ていて、朝になっていた。

 部屋のドアからコンコンと音が鳴ってテラスさんの声が聞こえた。


 「イズミくん、もう朝よ。ご飯が冷めるわよ」

 「すみません、今行きます」

 

 俺はすぐに服を着替えて朝食を取る。

 今日は外に出かけるのだからしっかりと栄養補給だ。

 朝食を食べ終えた後、テラスさんから小袋を渡された。中を見ると銅貨と銀貨が数枚入っていた。

 

 「もしお腹がすいたら、これで何か買ってね」

 「分かりました」


 この世界の通貨はある程度学んでいる。買い物には問題ない。

 服装よし、髪型よし、お金よし。バッチリだ。


 「テラスさん準備OKです。」

 「分かったわ。今使い魔を出すわ」

 

 テラスさんはそういうと、突然テラスさんの足元から黒い狼が現れた。思いっきり触りたくなるようなサラサラとした毛が生えていた。

  

 「この子が私の使い魔。ケルよ」

 「初めましてイズミ様。ケルと申します」

 

 喋った。しかも良い声。


 「ケル、イズミくんをちゃんと守ってね」

 「分かりました。主人様」

 

 俺を守るということは道中魔物や盗賊でも出るのだろうか。

 

 「それじゃあ、行ってきます。テラスさん」

 「行ってらっしゃい、イズミくん」


 俺は家を出てカレマ町に向かって歩き出す。隣にケルさんが歩いている。ペットの散歩みたいだ。

 

 歩いてから10分ぐらい経つと森が見えた


 「イズミ様、この森には魔物が生息していますから、決して私の側を離れないように」

 

 さっきまで隣で歩いていたケルさんがいつのまにか俺の前を歩いていた。

 魔物か…。遭遇しないといいのだが。


 森に入ると遠くでガサッと音がした。

 魔物…!?いきなり!?

 音のした方向を見ると猪の様な姿をした獣が2匹いた。唸り声を出していて今にも襲いかかってきそうだった。

 どうしようかと考えているとケルさんが魔物に向かって叫んだ。


 「死にたくないなら失せろ!」

 

 魔物はその言葉を聞くとササっと逃げ出した。

 叫んだだけで魔物が逃げ出した…。

 

 「ケルさんって強いんですね…」

 「ハハハ、弱かったら護衛なんて任されませんよ」

 「そうですよね…」

 

 そりゃそうだ。わざわざ弱い使い魔を護衛にしても意味がない。


 その後は何度か魔物に遭遇したが全てケルさんが追い払ってくれた。


 家を出てから1時間ほど経っただろうか。ようやくカレマ町が見えてきた。

 どんな町だろうかと思いながら俺は町に入った。

 最初に見えたのは露店だった。

 果物、アクセサリー、本。色んな物が売られていた。

 さらに歩くと大きな建物があった。その建物に剣や杖を装備している人達が出入りしていた。


 「ケルさん、あの建物に出入りしている人達は?」

 「あの建物は冒険者ギルドで、彼らは冒険者です」


 冒険者か。子供の頃漫画に影響されて「将来は冒険者になる!」と言っていたな。今思い出すと恥ずかしいが…。

 子供の頃を思い出していると、1人の冒険者がこっちに向かって来ているのに気づいた。

 茶髪で騎士のような格好をしている男性だ。


 「やあ!久しぶり、ケル!今日はテラスと一緒ではないのかい?」

 「えぇ、主人様は少し用事がありまして」

 

 ケルさんは目の前にいる冒険者と知り合いのようだ。


 「そうなのかい。ところで隣にいる人は?」

 「彼はイズミ様。主人様のご友人です」

 「初めましてイズミ君。私の名前はアルス」

 「初めまして、アルスさん」

 

 優しそうな人だ。しかも男の俺でも惚れそうな程イケメンだ。


 「この町は初めてかい?困ったことがあれば力になるよ」

 「ありがとうございます」

 「それじゃあ私は依頼があるからまたね」

 

 そう言ってアルスさんは俺達が来た道を歩き出した。


 「ケルさん、アルスさんってどんな人なんですか?」

 「アルス様はこの町でとても有名な冒険者です」

 「えっ、有名な人なんですか?」

 「はい、数年前ドラゴンを1人で討伐したとして、冒険者の最高ランクであるSランクを貰ったそうです」

 

 ドラゴンを1人でか…。凄いな。

 

 その後、町を歩いていると教会があった。

 その教会の入り口付近に12個の銅像があった。

 

 「ケルさん、あの銅像は?」

 「あれは十二神の銅像ですね。十二神というのは遥か昔アルメリアスを創造した神様のことです」


 あぁ、昨日読んだ『12の光』に書かれていた神様達のことか。

 十二神はアルメリアスを創造し、人族、魔族、亜人族、神人族の四種族を生み出して世界を統治していた。しかし突然十二神は世界から居なくなり、2度と姿を表すことは無かった。って本に書かれていたな。

 いったい十二神はどこにいったのやら。

 俺は十二神の銅像を見ながらそう思った。


 その後俺はテラスさんから渡されたお金を使って果物を買って、食べながら家に戻った。


 


---



 「おかえりなさい、イズミくん。どうだった?カレマ町は」

 「いい町でした。とても平和で落ち着きがありました」

 「ふふ、それは良かったわ。疲れているでしょう。少し休んだらどうかしら」

 「分かりました」

 

 俺は自分の部屋に行き、夕食の時間までベッドで寝っ転がることにした。




 明日は何をしようか。

 


 


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