第33話 謎の力と再会
俺があの白い世界から出た後の話だ。
目覚めると、そばにはマナ達がいた。
なんでも大きな音がしたから向かってみたら、俺が立ったまま気絶していたそうだ。
その後は疲れていたのであまり覚えていないが、無事にキキトト大森林から出ることができた。
大森林を抜けた後、俺はマナ達に夢の中で起きたことを話した。
しかし皆、その白い世界がなんなのか、その世界にいた2人が誰なのかは知らないそうだ。
さてここから重要な話だ。
俺があの2人組の子供を倒した時に放った紫の電撃。
どうやら夢などではなかった。
試してみたら普通に出た。
これについてマナ達は驚いていた。
マナは「初めてみる魔術(?)ね」と言った。
確認の為バルザックに魔力眼で見てもらったが、魔力は一切見えなかったそうだ。
この力がいったいなんなのかは、答えを導き出す情報がひとつもないのでとりあえずいったん保留にした。
この力(この力の名前は電気と呼ぶことにした。そのままだが)はどうやら左手だと上手く出せるようだ。
左手以外だとあまり上手くは出せない。チョロっと出せる程度だ。
その他に、この力は長く溜めるほど射程と威力が上がる事と、当てた箇所を1秒ほど麻痺させる効果があることが分かった。(バルザックで試した。本人に了承済み)
それと、体が前よりムキムキになっていた(理由はこれも分からない)
その為か、身体能力が大幅に上がっていた。
バルザックと模擬戦をしてみたら、互角の勝負になった(最終的に負けたけど)
これにはマナとバルザックもドン引きしていた。
さて、今の状況を話そう。
今はリエナの知り合いがいる村までたどり着いた。
だが突然の襲撃でクタクタになった俺たちはいったん、村にある広場で休むことにした。
「くはー、疲れた。えらい目にあったぜ」
バルザックがドシンと思いきりベンチに座った。
「まったくね。でもみんな無事でよかったわ」
マナが腕を伸ばしながら言った。
「ところで今後の予定だけど、次は雪国の『フロース』に行くわ。それと…リエナとはここでお別れね」
「ああ、少しだけの間だったが、楽しかったよ」
「ごめんなさいね。こっちの事情に巻き込んじゃったりして」
「構わないさ」
リエナとはここでお別れか。昨日会ったばかりだが、少しだけ寂しい気分だ。
次は雪国か…。寒いところは嫌だな。かといって暑いところも嫌だが。
「久しぶりだな」
すると突然、隣から1人の男が話しかけてきた。
「…!?」
「えっ」
その男を見た瞬間、すぐさま戦闘態勢に入ったのは俺とマナだった。
バルザックとアルスさんは俺とマナの行動に戸惑っていたが、男を見て少しした後、気づいた。この前似顔絵で見たあいつだと気づいたのだろう。
リエナはこいつの顔を見るのは初めてだから一体誰なのか気づいていなかったが、何やらただならぬ雰囲気を感じたのか、剣の柄に手を添えていた。
そう、この男。
テラスさんを殺して逃げた男。
ロストマグナだ。
なぜ今この場に現れたのかは分からないが、仇を取るチャンスだ。
そう思い、攻撃しようとした瞬間。
「ここで始める気か?」
ロストマグナがそう言った。
慌てて動きを止める。
周りを見ると、村人たちがなんだなんだ?と、こちらを見ていた。
「まあ、そう急くな。
俺は今回、逃げたりなぞしない」
ロストマグナは懐から紙切れを取り出すと、それをマナに投げ渡した。
「今日の深夜、それに書かれた場所で待っている。
決着をつけよう」




