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第25話 3回目


 キキトト大森林。

 サハカ国にある大森林で通称『迷いの森』と呼ばれている。


 キキトト大森林は三つの領域に別れている。

 1番外側の領域、視界を埋め尽くすほどの木々が生えている『多木領域』

 中央の領域、黒い霧で覆われた『迷黒森林領域』

 そして中央と外側の間にある領域、オークやワイバーンの群れ等といった凶暴な魔物が生息している『森魔領域』


 この大森林に入り、行方不明となった冒険者や一般人は年間30人を超える。

 この大森林に入るには、必ず冒険者ギルドへ通達をし、細かく書かれた地図を持ち、Bランク以上の冒険者を最低でも2名同行するという厳しい条件がある。


 そんな多くの冒険者に恐れられている魔境の中で、ある集団がいた。

 

 「ロトス。1人増えてます」

 

 暗殺者と思わせる様な黒いローブに身を包んだ男、ダンゾウは高い木の上に座り、遠い先にいる旅の一行を見つめながらその一行の様子を下にいる青年、ロトスに報告する。


 その報告を聞き、ロトスは唇を弄りながら悩んだ。

 

 「ふむ、また新しい仲間が増えたということですか…面倒ですね。転移先を追加しないといけないですね」

 「それならあそこがよいじゃろ」


 悩むロトスに1人の老人が杖をついて歩きながら話しかける。

 

 「ここには奴の巣がある。新しい転移先はそこで良いじゃろう」

 「分かりました。すぐにお願いしますドリック」

 

 ドリックと呼ばれた老人は、「任せておけい」と言いながら森の中へと消えた。


 「それにしてもケマガとドラハママが勝手な行動しなきゃ、今頃全員で殺しに行ってたのに。ねーレト」

 「仕方ないよラト。2人は馬鹿だから。

  むしろ、いない方が助かる」


 仲良く会話をする幼い兄弟のレトとラト。

 2人は幼い姿には似合わない不気味なナイフを手に持って、それを眺めていた。

 そんな2人の前にロトスはゆっくりと膝をつき、彼らの目線に合わせながら話しかける。


 「2人ともそろそろ時間ですよ、会話はそこまでに。

  では予定通り、皆配置についてください。それぞれ任務を終えたら連絡を送ってください」



ーーー



 次の日。

 俺達はゴドウさんの所へ行き、完成した武器を受け取った。

 受け取った後、今後の予定はどうするかと宿で皆と話し合っていた際、リエナが話しかけてきた。

 彼女はどうやらマナとアルスさんに会いたかったそうだ。

 

 魔術の天才と呼ばれた魔術師と自身と同じ剣爺九ツ剣を持った冒険者。一度でいいから会ってみたかったと彼女は言った。


 この、自身と同じ剣爺九ツ剣を持つ者の事だが、どうやら彼女は黄金剣を持っているそうだ。(昨日バルザックから聞いた話によると)

 そう、この前本で読んだ、九ツ剣最強の黄金剣。

 彼女はその黄金剣の他に、黄金鎧と呼ばれる鎧も所持しており、通称『黄金騎士』と呼ばれている。かっこいい。


 エリナは、マナとは軽く魔術についての会話をしただけだが、アルスさんとはお互いの剣について深く語り合っていた、

 剣の質や〜、刀身の磨きや〜、あれやこれやと会話し、お互いの剣を交換して軽く素振りなどをしていた。


 ちなみに彼女は、ピポと言う名前のグリフォンに乗って、この国まで来ていたそうで、そのグリフォンは都市ウートルから離れた所にある町にいる知り合いに預けているそうだ。


 それを聞いたバルザックは「それじゃあ次の目的地はその町にしようぜ。リエナと一緒に行くか」と勝手に決めた。

 

 そして現在、俺達はリエナと一緒にその町へと向かっている。

 

 ふと横を見ると遠くにキキトト大森林があるのが見えた。

 迷いの森と呼ばれる場所。遠くからでもやや不気味な気配を感じる。


 「イズミ、その剣を見せてくれないか?」


 すると、リエナが俺の刀を興味深々に見つめながらそう言ってきた。


 「ああ、いいよ」


 俺は刀をリエナに渡す。

 彼女は刀を鞘から抜き、刀身をじっくりと眺める。

 その後、鞘に戻して俺に返した。


 「この剣、剣爺の弟子の誰かに作ってもらったのか?」

 「そうだけど」

 「やっぱりか。こんなに素晴らしい剣を作れるのは、彼らくらいしかいない」


 素晴らしい剣か。

 いい買い物をしたな。


 「…全員止まって」


 突然、先頭を歩いていたマナが止まった。


 目の前を見ると、執事のような服装をした男が立っていた。

 何者だ?と思ったが、似たような事が前にあったから恐らく…。

 

 「初めまして、マナギスタとそのお仲間の皆さん。

  ロストマグナ様の命により、貴方たちを殺しにきました」


 やっぱりロストマグナの配下だった。

 ドラハママといい、こいつらは道の真ん中で待つのが趣味なのか?

 いや今はそんな事を考えてる場合じゃない。戦闘準備だ。


 「彼は?」

 「オレたちの敵。リエナ、お前は関係ないから離れとけ」

 「友人の敵であれば、私の敵でもある。手助けしよう」


 リエナはそう言うと黄金剣を取り出した。


 「皆さん、準備はよろしいですね。

  では、いきますよ」


 男は指をパチンと鳴らした。


 「!?」


 すると、急に俺たちの足元が光り始め、魔法陣が現れた。


 突然のことで思わず驚き、固まってしまった。


 そして。


 「っ! これは転移の───」


 マナの声が途中で途切れる。

 回避に間に合わず、視界が光に包まれた。

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