第10話 ナルルタ城下町
5,6時間ほど歩いた頃、カレマ町よりも大きな町が見えてきた。
あれがマナが言っていたナルルタ城下町か。
「あと少しで着くわ。頑張りましょ」
マナはそう言いながらサクサクと進んでいく。
それにしてもマナの体力は凄いな。
俺はもう体力が限界だ。何回か休憩はしたが、流石に疲れる。
時間がある時、体力でもつけておこう。
「街に着いたら、まず冒険者ギルドに行くわ。そこで私の知り合いと会うから」
「知り合い?」
「ちょっとしたね」
ーーー
ナルルタ城下町に着き、冒険者ギルドへと向かう。
冒険者ギルドは意外とすぐ近くにあった。建物の大きさはカレマ町のよりもデカかった。
中に入るとマナは辺りをキョロキョロと見回し、遠くの方にあるテーブル席に座っている人を見て、「あの人よ」と言った。
後ろ姿だったが、その人は見覚えがあった。
騎士の格好をした茶髪の男性。
アルスさんだ。
「アルス。来たわよ」
「マナギスタ、やっと来たか。
待ちくたびれちゃったよ…。
それと久しぶりだね、イズミ君」
「お久しぶりです、アルスさん」
アルスさんは、こちらを振り向いてにこりと笑った。
「アルス、あなたイズミと知り合いだったの?」
「あぁ」
「そう、それならイズミにあなたの事紹介する手間が省けたわね。イズミ、座って」
マナはアルスさんの向かい側の席に座り、俺はマナの隣に座った。
「ところでマナ、なんでアルスさんがここに?」
「私とあなただけじゃこれから先の旅不安でしょ?
だから戦力として彼を呼んだの」
戦力か。
確かにアルスさんはSランク冒険者だからとても心強い。
どんな敵もバッタバッタと倒してくれそうだ。
「テラスは私の命の恩人だからね。断る理由は無いよ」
「命の恩人?」
テラスさんとアルスさんは知り合いということは知っているが、命の恩人という話は初めて聞いた。
「私がかけだしの冒険者だった頃、魔物討伐の任務中に死にそうになった事があってね。その時テラスに助けられたんだ。彼女と知り合ったのもその時さ」
なるほど。
アルスさんの過去にそういうのがあったのか。
「ところでアルス、昨日頼んだアレどうだった?」
マナは机に肘を置いてそう言った。
「ダメだったよ。君が話したロストマグナという人物。
いろんな冒険者に聞いたけど知らないそうだ」
「そう…。まぁそんな簡単に見つかるわけないわよね」
アルスさんは俺たちが来る前にここで聞き込み調査をしていたようだ。だが成果はゼロ。
「それじゃあこの町に用は無いわね」
マナはそういうと立ち上がり荷物を持った。
「あっ待ってくれないか?実は君たちが来る前に受付の人から依頼を頼まれちゃって。それを終わらしてからでもいいかい?」
「断りなさいよ。そんなの」
「いや、結構報酬が良かったからつい…」
アルスさんは申し訳なさそうに笑った。
「仕方ないわね。それじゃあその依頼を終わらせたら次の場所に行くわよ」
依頼か。
アルスさんに頼まれるほどの依頼…どんなのだろうか。
ーーー
「どうやら仲間がもう1人いたようだな…。すぐに殺さなくて良かった」
冒険者ギルドの入り口付近に立っている男が、ある3人をチラリと見つめている。
目立たないよう、誰かと待ち合わせしているかのようなフリをする。
「あいつらを殺せばロストマグナ様に認めてもらえる。
更にパワーアップさせてもらえる」
男は腰につけている自慢の武器である鎌に手を添える。
だがすぐに手を離した。
やるならあいつらだけになってから。目撃者を作ってはいけない。と心の中で言い、自分を落ち着かせる。
「ククク、あの3人の首を斬り落とし、ロストマグナ様に捧げよう」
マナの名前を変更しました
変更前「マナギスタ•エルメス•ファーダイム」
変更後「マナギスタ•エルメス•ヴァイスルナ」




