第8話 旅の準備
「これで必要な物は買えたわね」
「疲れた…」
俺達は今、カレマ町にある宿で旅の準備をしている。
マナと旅をすることを決めた後、俺達は武器屋、防具屋、服屋、道具屋に行き、旅に必要な物を買った。
服屋に行ったのは俺の服を買う為だ。
今まで俺は元の世界での服で過ごしていた。
これから旅をするのだから、新しい服にするべきだとマナに言われた。あと普通に目立つらしい。
まぁこの世界の服じゃないからな。目立つよな。
武器屋では剣を買い、防具屋では動きやすさを重視する為、必要最低限の防具だけ買い、道具屋では野宿をする時の為の調理器具を買った。
「それよりもこんなに沢山の荷物を入れて大丈夫なのか?絶対重いぞ」
バッグには食料、地図、着替え、調理器具などが入っている。
「大丈夫よ。そのバッグには、中に入れた物の重さを無くす、っていう術式が付与されてるわ。まぁ中に入れても手が物に触れてる間は効果は発動しないけど」
本当か?と思い俺はバッグを持った。
「うおっ、軽い」
中には沢山の荷物が入っているのに普通に持てた。
便利なバッグだ。
「そういえば、マナは装備を何も買わなかったけど大丈夫なのか?」
「私は自分のがあるから大丈夫よ。明日出発の前に取りに行くわ」
「マナの家ってここから近いのか?」
「めちゃくちゃ遠いわよ」
「えっ、じゃあどうやって取りに行くんだ?」
「空を飛んで取りに行くわ」
「えっ、マナって空を飛べる…あっ」
そういえば最初にロストマグナを攻撃した時、空を飛んでいたな。忘れていた。
「ふぁ〜ぁ、私はそろそろ寝るわ」
マナは大きな欠伸をしながらベッドに寝っ転がった。
「俺もそろそろ寝るか」
俺は明日の準備をスパパッと終わらせて寝た。
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パチリと目を開ける。
早めに寝たおかげか、スッキリ起床できた。
「……ん?」
隣のベッドを見るとマナがいない。
先に起きて朝食を食べに行ったのだろうか。それなら起こしてくれてもいいのに。
俺は一階へと降りる。
しかしマナは居なく、俺は不思議に思うもお腹が空いていたので朝食を食べた。
朝食を食べ終え部屋に戻ろうと二階に上がると、後ろから階段を登る音が聞こえた。
後ろを振り向いて見ると登ってきたのはマナだった。
「どこに行ってたんだ?マナ」
「家にある装備を取りに行ってたのよ」
よく見ると、マナは右手に少し短めの杖を持っていて、左腕には赤い石が嵌め込まれた腕輪を付けていた。
「イズミ、朝食はとった?」
「あぁ」
「それじゃ、出発しましょう」
部屋にある荷物を取り、宿代を支払い、町の入り口へと向かった。
町の入り口に着くと冒険者達が馬車に乗り込んでいた。
「マナ、俺達も馬車に乗るのか?」
「乗らないわ。目的地に向かう道の途中でやることがあるから、歩いて行くわよ」
歩いて行くのか。
ん?目的地?そういえばどこに向かうのか聞き忘れていた。
「目的地ってどこなんだ?」
「あっ、ごめんなさい。言い忘れてたわ。今回の目的地はナルルタ城下町よ」
「ナルルタ城下町?」
「えぇ。ここナルルタ王国を治めている国王が住んでいる場所よ」
ここはナルルタ王国という国なのか。
そういえば、前に世界の国について書かれてる本を読んでいたんだった。
途中で疲れて寝てしまったから少しだけしか読んでなかったけど。
「ナルルタ城下町にはカレマ町よりも沢山の冒険者がいるし、そこで情報収集をするわ。もし何も無かったら次の国に行くわ」
「行った国で情報収集をして、終われば次の国に行って情報収集をする、という感じで旅をするのか?」
「そんな感じね。それじゃあ、出発するわよ」
「分かった」
俺達はカレマ町を出る。
目指すはナルルタ城下町だ。




