実は明日から休みなんですよ:4
「えっと、私の銃には原石が宿っていないんですか?」
「それがね、この銃からは鼓動が感じ取れる。原石が宿る武器特有の鼓動が」
(アガサに触ると感じてた脈動のこと?)
今まで幻覚だと思っていた。
「だがこの銃はオリジナルではない、最初に君を侵食したのは別の銃だ。そうだろう?」
「は……はい」
そうだ、私が初めて撃った原石銃はこれではない。
「なら当然君の身体に原石が宿ったはずだが……」
グレイマンがこちらを見る。
「原石が一度人体に宿ると、分離させるには宿主が死ぬしかない」
「え……?」
グラドミスの記憶を思い出した。
原石武器継承の際、自身の親を殺したグラドミスの事を。
「だが君は生きている、原石も君ではなく銃に移ったように見える。そんな事例は今まで無かった」
「……不躾だが身体に何か異常はあるか?原石糸の報告は受けているがそれ以外には?」
「思い当たる事は特に……」
アガサを手に入れてからの事を思い返す。身体的な異常は原石糸以外には特にない、はずだ。
「身体が丈夫と聞いているが、それは生まれつきなんだな?」
「あ、はい」
「他に情報は無いか?どんな事でもいいんだが」
(……塔子のこと)
話していない事といえばもうそれくらいだ。
(私には前世の記憶があって、夢に前世の塔子って子が出ててきて、最近その子と会話したって……)
そもそもこんな突拍子もない話、言い出しても頭がおかしいと思われるだけだ。
グレイマンがため息を吐いた。
「その銃──アガサだったな、それはロスが作り、オリジナルもロスが持ち去ったと聞いている……やはり奴から直接聞くしかないだろうな」
グレイマンがアガサを取り、私に手渡す。
「これは返す、言っておくが扱いには注意するんだ」
銃を握ると、グリップから原石糸が伸びて私と繋がる。
(……鼓動が聞こえる)
アガサから心臓のような鼓動が感じる。
「原石武器は騎士の武器だ」
グレイマンが義手で手招きしてきた。椅子から立ち上がり、座る彼に近づくと手を差し出して来る。
「君は騎兵だが、原石武器を持っている以上騎士になる資格がある。これから精進するといいだろう、我々は才能ある者を歓迎する」
グレイマンの手を掴む。義手だというのに温かい。
「だがもし君がその銃を使い、暴走するような事があれば我々騎士が対処する。心しておくんだな」




