実は明日から休みなんですよ:2
「ところで、あのオリンピアって子とファルナはどんな関係なの?」
「ああ、知りたいよね」
レガリアが口の端を歪み笑う。
「まあ端的に言えば腐れ縁。アイツと私、拠点がマルスサインなんだけど、大きめの騒ぎが起きる度にオリンピアとその後ろにいる奴らが絡んでくるのよ」
ライナーグループ、彼女が言っていた。
「イグドラじゃ名の通った企業だからね、名前くらい聞いた事あるでしょ?」
レガリアの問いに首肯する。
イグドラで目にする外国製品の殆どを賄っている企業だ。
「大きめの騒ぎってどんな?」
「工業区で爆破事件起こしたり、組織的な強盗したり、外国に色鉄武器密輸入しようとしたり……」
(マルスサインってやばい街なの?)
「現場でオリンピアと出くわしたのも何度かあるわよ、戦闘になったらだいたい私が勝つんだけど……」
ここでファルナが苦虫を噛み潰したような顔をした。
「アイツ、ライナーグループのご令嬢様でさ。逮捕してもすぐ権力使って出てくるのよね」
コーヒーカップを握るファルナの手に青筋が浮かぶ。
「オマケにアイツ、社交界でもたまに顔合わせするのよね。澄ました顔見る度に腹が立つわ」
「そんなお嬢様がどうして一人でイストサインなんかに?」
「さあね、そこから先はこの後じっくり聞き出してやるわ。幸いここはイストサイン、アイツの取り巻きが居ないもの」
ファルナが黒いオーラを纏う笑みを浮かべる。
「ふふふふ、じぃっくり聞いてやるわよ」
ごぉんと昼時の終わりを告げる鐘が鳴る。
「ああ、そうだわレガリア」
食事を終えた私をファルナが引き留めた。
「貴女からその銃について話を聞いとかないと。会議室までついて来て」
(そうだ、忘れかけてた)
今日は騎士に原石銃を手に入れた経緯や力の詳細を話す日だった。
会議室に入ると車椅子に座った老人が居た。
「やあ、来たね」
(……この人も騎士なの?)
かなり高齢の男性だ。背を丸めて車椅子に乗っているせいか身体も小さく見える。
「紹介するわ、イグドラで最年長の騎士、グレイマンさんよ」
私の疑問に応えるかのようにファルナが紹介した。
「侮っちゃダメよ、こんな風に見えて私より強いんだから」
到底信用できない発言だ。




