こんな道案内があるか:3
狙い通り、私の銃は原石武器──彼女がタイタニアと呼ぶそれを破壊した。
「……ああ!ああ!!」
鎖を破壊されたオリンピアは怒りに任せてこちらに突進してきた。
(やっぱり、戦いの訓練は浅い)
勢いよく走る彼女の足元に原石糸を投げる。
「……っうわ!」
脚を糸に取られバランスを崩したオリンピアは激しく回転しながら地面に倒れた。
「エドガー手伝って、公務執行妨害で逮捕よ」
「あ、うん」
思った以上に呆気なく事が進んだ。
「くそ!離せよ貧乏人!よくもタイタニア壊してくれたな!」
手錠では不安なので原石糸を身体中に巻き付けておく。
原石武器が破壊された為か少し腕力が落ちている気がする。
「痛ってぇ!レガリアコイツ腕力バカ強い!」
「ああもう暴れんなクソガキ!」
「離せーー!訴訟起こすぞ!」
網に絡まれた犬のように暴れてその場から離れようとしない。
「エドガー、コイツの耳元に音響弾撃って」
「流石に可哀想じゃ……」
「鎮圧の一環よ、追加の知らせにもなってちょうど良いわ」
大人しくしないオリンピアをどうするか考えあぐねていた時、広場に誰かがやってきた。
「やっほー、楽しげな音がしたから騎士ファルナレギア様がやって来たぞー」
聞き覚えのある声だ。振り向くと支部のある方角から大きな帽子を被った少女がやって来るのが見えた。
「お?もう終わったの?」
絵本に出てくる魔女の様な格好をした少女、イグドラ中央都マルスサインの騎士ファルナレギアだ。
「あ!こんにちはレガリア、私覚えてる?」
忘れるはずもない。あの革命の夜、私と共にグラドミスと戦った騎士だ。
返事を返すべきだと思うがオリンピアから目を離したくない。
「うわ……あの声……」
突然オリンピアの抵抗が強くなった。二人がかりで抑えるがエドガーが蹴られ吹っ飛んだ。
「こーら、暴れんな」
レガリアがオリンピアの脚に剣を突き立てた。大方その場で生成したであろう煉瓦の剣を。
「あら?バカンピンじゃん」
「……っ!クソレギアァァ!!」




