給料は欲しいけどやっぱり休みの方がいい……:3
レンガ造りの建物が傾いでいる。
「おいおい……何があったってんだよ……」
職場の騎兵隊支部は見るも無残な姿になっていた。
「何って……原因アレよね」
建物の周囲で動く人影がある。
片や黒い杖から糸を出し、瓦礫を浮かせ飛ばしている男──間違えようもない、ロスだ。
もう一方は得体が知れない。漆黒の甲冑に身を包み、腕に蒼鉄製らしき剣を取り付け仁王立ちしている人影。
(似てる……グラドミスの鎧みたいだ)
鎧の人物がロスに飛び掛かる。
全身鎧を着こんでいると思えないほどの速度だ。
(原石武器だ、間違いない)
可能性はグレイマンの原石武器、支部でロスと戦っているところを見ると間違いない。
「エドガー、私は加勢しに行く。アンタは……遠くから援護して」
「……了解、お前も無茶はするなよ」
私は頑丈だ、地面から数十メートルある峡谷から落下した時も怪我一つ負わなかった。
ただエドガーの身体にはそんな特性は無い。
(やれることを、やるだけ)
ホルスターにしまった原石銃──アガサに手を触れる。
支部に近付いてからというもの、まるで興奮するかのようにアガサは脈動を続けている。
近寄る程に、風圧が周囲の空気を薙ぐ。
蒼鉄の剣と漆黒鉄の杖、二つのぶつかり合いの余波だ。
(……見える)
支部の瓦礫、大きい残骸に身を寄せ二人の戦いを見守る。
私が狙うはロスの身体。こそこそ目立たぬように近付いて、隙を見せたらアガサで撃ち抜く。
(悪く思わないでよ、ロスさん)
照準を付け、ロスを狙い打とうとした時
「──がっ!!」
何かに横っ面を吹き飛ばされた。
身体が宙を舞い、どこかの建物の壁に沈む。
「先日は、どうもやってくれたね」
聞き覚えのある声。
鎖が砕け、短くなったがそれでもまだ巨大な鉤。
「君、レガリアって言うんだっけ」
支部の保管庫にあった原石武器──タイタニアを構えた少女、オリンピアが悠然と向かって来る。
「君なら知ってるんだろ?あの夢について」
アガサから原石糸が伸び、私を守るように周囲を周り始める。
「教えてもらうよ、『神の遺物』について」




