だから、もうちょっと頑張ろうって思うんです:3
(頭痛い……)
嫌な気分のまま目が覚めた。頭が重く、喉の渇きを感じる。
(ここは……支部の病室)
「おはようレガリア」
「隊長?」
ベットの傍に隊長が座っていた。
「よく眠っていたな、丸二日だぞ」
「ふつか……?隊長、グラドミスは?あの鎧達は?」
2日も眠っていたと聴き、一気に気が重くなる。母や街の人達は大丈夫なのだろうか。
「寝ぼけているようだな、グラドミスはお前とファルナレギア殿……あとロスが倒した。と聞いている」
(記憶にない)
説明を聞いても何があったのかいまいちピンとこない。
ファルナやロスと共に戦ったのは覚えているが、途中で気を失ったはずだ。
グラドミスを追い詰めていたという『レガリア』に心当たりがない。
隊長が病室の窓を開けた。
「街は復興中だ、市民も多くが被害を受けたが……」
街の外では多くの建物で補修工事が行われていた。
「グラドミスに好きにされるより遥かに良いだろう」
「隊長……ウチの母は?」
「無事だ、支部はお前が守ってくれたからな。よくやった」
隊長が私に微笑みかけた。珍しい表情だ。
「ロスの行方はさっぱりわからん、もうイグドラには居ないかもな」
ロス、メトラタのスパイだという事以外はさっぱり不明な人物。今は何処に居るのだろう。
「それと、騎士ファルナレギアとゾディアが後日話を聞きに来ると」
「うえ、やっぱりこれについてですか?」
枕元に置いてあった原石武器を見せながら言う。
「大方な、今は本部に戻ってるが二人とも暫くイストサインを担当するそうだ。しっかり話をまとめておけよ」
先の予定の事で胃の調子が悪くなりそうだ。
「一週間休暇をやる」
「え?良いんですか?」
頭を抱えて唸る私を見かねてか隊長が素晴らしい提案を出してくれた。
「それくらいの働きはしただろう、諸々の処理はこっちでやっておく。母君によろしくな」
「あのー隊長」
「なんだ?」
以前からどうしても気がかりなことがあった。
「隊長と母さんってどんな関係なんです?」
やたらとうちの母を気にする隊長、前に我が家に泊まった時も母さんに頭が上がらない様子だった。
「騎兵になりたての時色々世話になったんだ」
「色々って?」
どうしても気になる。
「別に深い話では無いんだが」
少し恥ずかしそうに隊長が話しだす。
「騎兵隊で……アンナさん──お前の母親は私の先輩でな」
(隊長と母さん、先輩後輩だったの!?)
「私は貧乏で、当時よく腹を空かせていてな……お前の母が私に弁当を分けてくれた。毎日な」
しばしの沈黙。
「……それだけですか?」
「それだけだ」
さらに沈黙。
「……あのー隊長」
「なんだ」
「私、こう見えても料理が得意なんです」
「ほう」
「だから、今度隊長に何か作ってきますね」
「そうか」
隊長が背を向け、医務室を出ようとする。
「楽しみにしておく」
去り際、私に笑いかけてくれた。




