まあ、生活もかかってるので文句言ってもしょうがないんですけどね:2
「レガリア!無事だったか」
支部内に入るとまずカティア隊長がやってきた
今朝よりさらにボロボロになっており、うちの母に肩を貸してもらいながら歩いてくる。
「え……隊長こそ無事なんです?」
「問題ない、山場を越えたら暫く休暇を取る。今は正念場だぞ」
(そういう問題なの?)
「レガリアちゃん!心配してたのよ!」
「……うん大丈夫よ母さん、だから職場で抱きつかないで」
気恥ずかしさを噛み締め隊長に向き直る。
「レガリア、この騒ぎを起こしたのはグラドミスか?」
「はい、街で暴れてるのは全部奴の作った化け物で、どうにも前から計画してたようです」
「そうか……お前ロスとは会ったか?」
「ええ、会いました」
そういえばロスをグラドミスの屋敷に送ってくれたのは隊長らしかった。
「奴と少し話し合ってな、最低でもグラドミスをどうにかするまでは協力関係を築く事にした」
「あの、それと道中で騎士ファルナレギアと会いました。別にもう一人ここに来てるらしいんですけど」
「ああ、ゾディア殿だな」
近くで大きな爆撃音が鳴る。少しずつ戦闘が激しくなってきている。
「彼にも防衛を任せている」
隊長がちらりと私を──原石銃を見た。
「漆黒鉄の鎧が来たんだ」
恐れていた情報だ。きっとグラドミスは本気でこの支部を潰しにかかって来ている。
「三体居る、ゾディアが抑えてくれているが相手が悪い……レガリア、行ってくれるか?」
いつものように落ち着いた声音だった。
「地下に民間人を避難させている。ここを突破されると大勢死ぬ」
だが、表情には隠し切れない焦りと疲れが見えていた。
「頼めるか?」
「大丈夫です」
そうだ、これは私にしか出来ないことだ。




