表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生まれ変わったのですが転生先がどえらいブラックです  作者: 早熟最中
生まれ変わったのですが転生先がどえらいブラックです
61/196

毎日思うんですよ、職場に私なんて必要ないって。居てもいなくても変わらないって:5

 煉瓦造りの石畳から作られた剣は材質も同じようだ。

 ファルナは二本、三本と新たな剣を地面から抜き出し、漆黒鉄の自動鎧にぶつけていくが、どれも決定打にはならない。

「頑丈ねえ」

 宙に舞う剣は彼女の意志で操作されているらしく、鎧の周囲を牽制するように舞っている。

 煉瓦の剣を物ともしない鎧は斧を振り回し、周りの剣を全て砕く。

「じゃあこれはどう?」

 ファルナが腰に下げた剣を抜く。現れたのは紅い刃を持つ長剣だ。

(原石武器だ)

 直感が私に告げてくる。私の原石銃はあの剣に反応したのだろう。

 鎧が斧をファルナに叩きつけようとした。

 瞬間、彼女が剣を打ち払う。

 鉄のぶつかり合う轟音の後、ファルナが相対していた自動鎧の腕がひん曲がっていた。

「なによ、腹立つくらい頑丈ね」

 彼女の握る剣、先程まで紅く光っていたその刃は漆黒に染まっている。よく見ると腕に付けた籠手から漆黒鉄が刃へ広がっていた。

(周りから剣を作り出すってのがあの子の力、なのかな)

 まだ自動鎧は止まっていない。

 バランスを崩した身体を振り回し戦い続けている。

「はいはい、もうわかったわ」

 ファルナは投げやりな様子でさらに手足を打擲する。鈍い音が辺りに響き、鎧は表層を潰され動けなくなった。

「ふー、弱いのに時間かかるわね。レガリアさん無事?」

(グラドミスの傀儡を倒したって事は、敵じゃないのかな)

 私も少し警戒を解いた。

 そのまま一仕事終えた様子でファルナが歩み寄って来た瞬間──

 私たちの前にもう一体の鎧が降ってきた。同じ漆黒鉄の自動鎧だ。

「なっ──!」

「もう一体だね!」

 自動鎧がファルナに剣を振り下ろす。再び剣戟が始まる。

 私も原石銃を鎧に向けた。胴体に照準を合わせ、引き金を引く。

(弾は一発だけ──これで砕けて!)

 轟音が響き、目の前には胴体から赤黒い液体が溢れる鎧の残骸が倒れている。

 腕が灼けた、骨の髄まで焦げた気がする。

「ふわあああ!!すっごいわ今の!何なの?イストサインの新技術!?それとも貴方が編み出した必殺技?もう一回やって!」

(もう一回……?冗談じゃないわ!)

 キンキン痛みに響く声でファルナに質問責めされた。応じようにも歯を食いしばっているので答えられない。

 原石糸が腕を覆うと痛みが少し和らいだ。

「そういえばレガリアって名前……確か報告書で見たわ。じゃあアンタがグラドミスが狙ってるって子?そうだよね!」

「……そうです、合ってます」

「そっかそっか!じゃあ今すぐグラドミスの所行くよ!その間色々教えてよ!」

 ファルナは今にも明後日の方向へ走り出して行きそうだ。

「ちょっと……待ってぇ……」

 彼女こそ私たちが待ち侘びていた存在──中央から応援に来た騎士のようだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ