やっぱり家に帰るまでがお仕事ですね:1
村の焚き火に死体袋が並び終わる頃。
私と隊長はイストサインに戻る為列車に乗っていた。
カティア隊長も私も表情が暗い。
「またロスから手紙が来たんだな」
「はい。同じ場所、同じ時間に、とあります」
「……話す内容も大方同じだろう。協力するかは別にしても奴から色々聞き出さなければ」
私は隊長の言葉を上の空で聞いていた。
(鬱だ……)
村で起きた惨劇、悲嘆に暮れるモンドの表情が頭をよぎる。
(私が、あの村に向かったから……)
「レガリア、聞いているか?」
「……はい」
右腕を包帯で吊った隊長が話しかけてくる。
「左手を見せてくれないか?」
「はい、いいですよ」
袖を捲り左腕を見せる。
昨日、原石銃を撃ってから変化した私の左腕。今傍目から見ても何の変哲もないが。
「あの糸みたいなものは出せるのか?」
「出せますよ」
私が意識すると、まず血管のそばから白い糸が宙を舞う。
「お前の意志で動かしてるのか?」
「今は何も考えてないです」
糸は重力など気にしないように私と隊長の周りを揺蕩う。
(これが原石武器に侵食された影響、なのね)
ゆらゆら揺れる糸はぼんやりとした今の私の気持ちを表しているようだ。
「銃はどうだ?消えてないか?」
「ありますよ、ちゃんとホルスターに」
朝起きた時、ちゃんとしまってあった銃が手元にあった時は驚いた。まるで銃が勝手に動いたようだった。
「この銃はお前が持っていた物で間違いないんだな?」
昨日、グラドミスと戦う前。私が持っていたのは何の変哲もない鉄の銃だった。
しかし今や色鉄──赤く輝く緋鉄のような色を持った銃になっている。
「この銃は確かに私のでした。変化したのは、グラドミスに銃を向けた時、だった筈です」
奴に銃弾を放った後、私の銃は突然強い熱を持ち、腕から離れなくなった。あの時から銃は変化し出したのだろうか。
侵食──色鉄が人の身体に干渉する現象。
「レガリアちゃん、君の身体は原石に書き換えられたんですよ』
ロスの言葉が頭に響く。
この銃は私に侵食されたのだろうか。




