出先で泊まり込みですか……:1
吹き飛んだグラドミスに、間髪入れず隊長が追い打ちをかけた。
残った閃光弾を数発、至近距離から放つ。
鎧を剥がされたグラドミスは完全に倒れ伏している。
「……ふぅ」
そのまま隊長も蹲ってしまった。
「隊長、大丈夫ですか……?」
「……流石に、疲れた」
突如、虚空から鈴を割ったような音が響く。
「……っ!何なの?」
「信号弾だな、あの音は支部の誰かだろう」
言われると聞き覚えのある。イストサインの騎兵が使う高い音だ。
「レガリア、返答を頼む」
銃を持ち変え、空にむけ同じ信号弾を撃った。
「……そのうち、誰か来るだろう。レガリア、手を貸してもらえるか?」
隊長の腕は折れ、槍に貫かれた脚からは血が流れている。
一刻も早く手当しなければ危険だ。
「あ……!はい、えっとえっと」
「包帯はあるな?脚を頼む。腕は自分でどうにかする」
隊長は折れていない左腕で添え木代わりの鉄糸を銃から放つ。
(とりあえず、傷の具合を)
脚の傷は骨まで達してはいないようだが、深いことには変わりない。
彼女の傷を見ている最中、私の左腕から白い糸が伸び始めた。
「……っええ?何で今出てくるの?」
銃から伸びているとばかり思っていたが、原石武器の力らしいこの糸は私の身体から伸びているようだ。
「それが原石武器か」
「はい……そのようです」
鉄糸は隊長の脚の傷に纏わりつく。
「……くっ」
「隊長!大丈夫です!?」
「……痛いぞ」
私の腕から出る糸が脚の傷を覆っていく。
「……これは、何なんだ?」
「わかりません……でも多分、傷を塞ごうとしてるんだと思います」
身体から出た謎の糸は隊長の脚を止血したようだった。
「ええっと隊長……脚はどうです?」
「止血は出来たようだ」
とりあえず、隊長に害を成そうとしたわけではないらしい。
少しずつ、人の声が広がりだした。




