表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生まれ変わったのですが転生先がどえらいブラックです  作者: 早熟最中
生まれ変わったのですが転生先がどえらいブラックです
29/194

残業日が続いてしまった……もしかしてこれが当たり前になっていくんです?:3

 夜中に目が覚めてしまった。

 お腹の奥の方から嫌な痛みを感じる。気持ちの悪い満腹感、胸のむかつき。

 最悪な目覚めだ。

 眠気を逃したくないので硬く目を瞑り、ベットで丸くなるが意識は冴え始める。

 仕方なく上体を起こす。痛みは消えつつあった。

 毎日同じような痛みが襲ってくる、ナースコールを押す程でもないただ安眠を妨げる痛みとむかつき。

 部屋の隅から父の寝息が聞こえた。入院生活が始まってこの方、仕事が終わるといつも病室に来てくれるのだ。

 今は長椅子の上に寝袋を敷いて寝ている。家でゆっくりしていたいだろうに。

(私が死ぬ時に、一人ぼっちにさせたくないから──)

 だめだ、こんな夜中に目が覚め、嫌なことばかり思いつく。

 どんな時にも前向きが私のモットーなのだ。

 とりあえずスマホでネット巡回でもしよう。何かに没頭しよう。

 今どんなに死が怖くても、数年後の未来きっと私は元気に生きているはずだから。


 眠ると、いつも同じ夢を見る。

 夢の中で私は塔子という女の子で、彼女の人生の断片を見ている。

 家族想いで、いつも明るく振る舞う子。病気の怖さを押し殺し、辛くても笑おうとしている。

 だけど最後は病気で死んでしまう。

 治らない病気とわかった後、彼女の夢は見ていて辛い。

 不安、恐れ、狂気、彼女の感情を私も追体験する。

 でも塔子は、前向きに生きようと頑張っていた。

 そんな前向きな彼女を夢で見ると、私も頑張ろうと思えるのだ。


 破壊音、鉄同士がぶつかり合う音、誰かの悲鳴。

 少しの間意識を失っていたようだ。

「クソッ!来るなよ!来るなっ!」

「モンドさん……!」

 木陰にうずくまる私の前で、モンドが木の棒を手に影達へ立ち向かっている。

 ほど近い何処かでは戦闘の音、隊長はそこだろうか。

「うわぁぁ!」

 モンドが一体の影に引き倒された。さらにその上へと影達が迫ってくる。

(止めないと!)

 自然に左手が動き出した。

 銃を持っている、熱を帯びた左腕。

 片手で拳銃を構え、指が引き金を引いた。

 雷鳴のような音が、辺りに響く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ