心が疲れたらとにかく寝た方がいいとは思う、寝ようとすると嫌な思考が止まらなくなって眠れないのは脳のバグだと思う:5
「これらの功績により君には、イシュヴァルカ王より騎士の称号が与えられる」
騎士、イグドラを『原石武器』で以て守護する存在たち。今回レガリアがイグドラに来た『本題』はこれだ。
「おめでとう」
レイランドが拍手を贈る。次いで後ろからも手を叩く音が聞こえる。
手のひらに、じんわりと汗をかいていた。指はしっかり握っていたはずが今は蜘蛛の足のように曲がっている。
(不眠症になるのもわかるわ……)
レイランドに促され列に戻る。
「以上、解散とするが」
彼の眼がこちらを見る。
「レガリア君はここで待機してくれ、話がある」
ほとんど想定通りの流れだった。
執務室には総長と私、二人きりが残された。
「掛けたまえ」
レイランドは事務机の椅子に座る。私はその正面の椅子に座るよう促される。
「失礼します」
一礼して椅子に座る。レイランドが頷く。
「まあ、あまり気張らず楽にしてくれたまえ」
上司に言われても効果のない言葉ベスト一位は変わらず健在である。
「ただ、最年少で騎士となる者と話をしてみたかっただけだよ」
改めて彼を観察する。短く刈り込んだ黒髪に、職業柄を示すような蒼い鋭い眼。騎兵隊の長袖の制服をきっちり着込み、手袋を付け顔以外の素肌を一切出していない。
「……最年少の騎士は、ファルナレギアだったと思いますが」
「ああ、彼女は筆頭騎士の家系だからな。任命される者と生まれながらの騎士は違う」
口角だけを上げ、レイランドが笑顔を見せる。
「私も元は平民の騎士だ。奇しくも同じような立ち位置となるな」
(この人も騎士)
騎兵隊は軍事組織である。その長が騎士であってもなんらおかしな事はない。
「君の『武器』についてもグレイマン達から聞いている」
レイランドが指しているのは、レガリアが持つ原石武器──アガサと彼女が呼ぶ拳銃のことだ。
「漆黒鉄どころか原石武器すら砕く銃とは……ロスもふざけた代物を作り出したものだ」
「総長も、『原石武器』をお持ちなのですか?」
「無論だ、これを持たねば騎士足り得ない」
原石武器とは希少な色鉄の原石から作られる武器の事だ。剣であったり、銃であったり、鎧、仮面と形態は様々。
原石銃の能力、原石武器を探知するチカラに意識を向ける。
(……聞こえる、小さい音だけど)
原石武器が発する拍動──心音のようなそれを原石銃は感じ取った。この音は、レイランド本人が発信している。




