心が疲れたらとにかく寝た方がいいとは思う、寝ようとすると嫌な思考が止まらなくなって眠れないのは脳のバグだと思う:4
騎兵の等級システムは非常にシンプル、八~一等級制で上に行くほどえらい。
現在レガリアとエドガーは七等級、今回の発令式で最低でも一階級は上がる予定である。
「イストサイン騎兵支部の諸君。君達は街が恐怖に駆られる中、治安維持の為よく働いてくれた」
直立不動で立つ騎兵達の前で、壮年の男性が話している。騎兵組織の総長、レイランド・トライア氏によるお言葉である。
「……大きな損失があった。サインエンド地区では国籍を問わず人々が殺された」
表向き、イストサインの殺人鬼達の情報は伏せられている。
「殺人鬼『リーパー』とその一味による犯行は、騎兵が第一に守るべき市民の生活を──」
(お隣の国の人間がやったなんて知れたら一大事でしょうね)
イグドラとその隣国メトラタは十八年前まで三度に渡る戦争をしていた。こんな火種が放たれれば第四次大戦は確実だろう。
「──そして、カティア隊長殿の事は諸君も聞き及んでいるだろう」
覚えのある名前を耳にしたので話に注意を向ける。
「彼女は皆の模範たる、厳格な騎兵であった。隊を率いる者として兵の規律を正すことに長けていた。彼女の示した導きが、皆の心に生き続けることを私は願っている」
場にいる全員、真剣な面持ちで総長の声に耳を傾けていた。
「……彼女はリーパー、先日発表された『原石武器』の所有者によって殺された。彼の者の出自について世間では流言が飛び交っている。ここで諸君には今一度騎兵が何のために存在しているか思いだしもらいたい──」
(世界が変わっても、警察みたいな組織のお説教って似たようなものね)
総長の話を聞き流していると、騎兵の面々たちの名前が呼ばれだした。話は終わり、各隊員に昇格の知らせが贈られる。
「エドガー隊員、此度の働き見事であった。六等級に任ずる」
一礼して、エドガーがレイランドの前から離れた。
「レガリア隊員!」
ついに呼ばれた。
(中身は別人だけどね)
まあ彼らは『塔子』の存在など知る由もない。
慣例に則り、一礼してレイランドの前に立つ。
「レガリア隊員、リーパー、オズワルドの討伐、並びにレベリオの捕縛──」
(毛色が違うなー)
他の隊員には治安維持活動に対する褒賞だった。




