家帰って寝たら転職のやる気なくしてる、じゃあ今のままでいいやってなる:4
生きているうちは外に出ない身体の臭いが、一度外に出るとここまでの悪臭を放つ。人体というのは不思議なものだ。
『私も死んだ後こんな臭い出したのかな?』
ゾッとする。自分の死後の臭いなど想像したくもない。
『ほんと、死後のことなんて考えるもんじゃないわ』
いつしか脳内に『レガリア』から分離した思考が生えている。
『塔子、悪いけど今構ってる暇ないわ』
目覚めた彼女には悪いが、とにかくリーパーを見つけ出さなければならない。被害をこれ以上広げないためにも──
『私、リーパーの位置わかるわ』
そう彼女が言い出した。
『ぼんやりとだけど、大体の方向なら』
『どうやってそんなの探知してるのよ?』
『理屈はわかんない、けどレガリアに伝えられる』
塔子の感覚が脳を走るのと同時にホルスターにある原石銃の糸が虚空を指し始めた。
『もしかしなくても、原石銃の力かな?』
『そうだと思う』
塔子の意識に集中すると、拍動のような音が頭に浮かんでくる。
『反応みたいなのは三つ、誰のかだとかはわからないけど……1番近くのはあっち』
腰から原石銃が方向を主張してくる。
ここまで頼りにしてきた血痕は血塗れの道の前では既に意味を成していない。
闇雲に動き回る以外のことができそうだ。
進めば進むほど、血溜まりと肉片は多くなっていく。
『また突き当たり』
『それじゃあ左』
サインエンドの奥深く。建物はごった返し、道幅は狭い。
『近いよ、止まってるみたい』
塔子の探知する原石武器の反応、その感覚が伝わってくる。
『……近くにいるのね』
塔子の感じる反応はすぐ近く、どこか覚えのある拍動だった。
『近づいてくる、向こうからよ』
「……わかった」
覚悟を決めた。
いつリーパーが物陰から飛び出してくるかわからない。
原石銃を構えながら、反応に向けて駆ける。
引き金に指をかけ、目にした目標に狙いを定め──
「アンタか」
想定していた相手ではないとわかり、脱力する。
「どうも、撃たないでくださいよ」
私に両手を広げて挨拶してきたのはロスだった。
『撃ってもよかった』
「撃ってもよかったんですけど、リーパー見つけました?」
「ええ、追い詰めたと言ってもいい」
ロスは杖を地面に突きながら言う。
杖には血と肉片の光沢がついている。ここで落ち合うまで相当やり合ったのだろう。




