休日だけど職場行かないといけないんだ、ちょっとやな感じだ:4
「あら、その銃、撃てるの?」
ジルの顔の左半ぽっかり空いた眼窩から骨が飛び出る。白く鈍く輝くそれは、昨日も見た髑髏の仮面だ。
原石銃の引き金を引く。確かな手応えと共に、緋色の軌跡を残して弾丸は放たれた。
「……っ!………へぇ」
弾丸はリーパーの頭蓋に命中した。意外に脆いのか、頭蓋に亀裂が走り、今度はそこから血肉が飛び散った。
あの小さな頭蓋からどうして広がるのか、夥しい量の肉片がジルの周囲に溢れ出る。方向性を持ち、躰うぃを作るように蠢き出す。ジルの身体を前に、まるで人質にするように。
今や目の前には漆黒の外套を羽織り、髑髏の仮面──否、素顔のままの『リーパー』が目の前に立っていた。
「改めまして騎兵さん」
新たに生え出た赤黒い腕を上げる。
「ジル・リーパーよ、よろしく」
「目的は何?」
銃を構えたまま、リーパーに問う。狙いは変わらず仮面。
私の問いに対し、リーパーは笑った。
「自分が一番わかっているんでしょう?」
「……この銃と、レベリオの居場所」
リーパーは首肯する。
「悪いけど原石銃を渡す気はないしレベリオの居場所を教える気もない」
「ふぅん」
リーパーは私の原石銃を見た。
「昨日も少々見せてもらったけど、随分相性がいいのね貴女達」
「……それはどうも、言っとくけどこの銃、漆黒鉄だって撃ち砕けるから」
ジルを巻き込まなければ、この女一人くらい簡単に殺せる──はずだ。
「一体、誰を犠牲にしたのかしら?」
「………っ!」
言葉に耳が反応する。
この女はきっと知っている。私が知りたい情報を。
「………リーパー、貴女はどうなの」
答えを求めて問いかける。
「貴女の原石武器は、何を犠牲にして得た物なの?」
「………ふふ、フフフ」
リーパーの手が、胴体に磔にされたジルの顔に触れる。何が可笑しいのか、髑髏の口が震え、笑い声のような音が響く。
「聞きたい……?言わせたい……?私に……?」
リーパーの声が震えだす。それは次第に獰猛な気配を帯び始める。
「お前のような……イグドラの小娘にわかるものか……」
声だけでなく躰も震えている。いつなんらかの破局が訪れてもおかしくない。
「子を奪われる苦しみが……!お前に……!!」
血肉の塊が私目掛けて放たれる。咄嗟に原石銃の糸で作った盾を構え、衝撃を受け止める。
「……うわ」
血が顔に降りかかる、変わらず鉄臭い嫌な匂いがする。服の袖は酸で溶かされたようにぼろぼろになっていた。
「……傷一つ負わないなんて、やっぱりレベリオに『教育』してもらわないと」
近づくリーパーに対し、原石銃を構える。
(どうにかして、リーパーからジルを引き剥がさないと)
その時、リーパーの首元、一本の光条が捉えた。
(来てくれた!)
白輝鉄の糸を操り、リーパーの首を締め上げている男はロスだ。
「……リーパー、また会うとはね」
「貴方は……ロス、ね」
リーパーの首に糸が食い込み、少しずつ首の肉を絶っていく。
「ロス……恋人さんは、元気?」




