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生まれ変わったのですが転生先がどえらいブラックです  作者: 早熟最中
どうやって仕事へのモチベーションって保つんでしょうか
167/202

ネガティブを打ち消すのはポジティブではなく、没頭である。どっかのお笑い芸人がそう言ってたと彼女は教えてくれた:5

「何者?どうして私を知ってるの?」

 仮面の老女は笑い声で返事をした。陰気なしわがれ声が腹立たしい。

「ねえ、レガリア」

 まるで友人に話しかけるように女は言う。

「レベリオがどこにいるか、知らない?」

 確信した。この女はメトラタからやってきた。

 そして──

(私の敵だ)

 原石銃(アガサ)の鉄糸を飛ばす。長袖の服に隠れているが、敵の腕に絡ませそのまま動きを封じようとする。

「──っ!?何!?」

 老女の腕が突然肥大化した。はじけるような音と共に腕から赤い塊が放たれ、路地を覆うように広がりだす。次いで聞こえてくる肉が這い進む耳障りな音と、粘性の高い血の滴る背筋の凍る音。

(気味が悪い……)

 糸を放し、交代する。グロテスクな光景だ、あの肉の塊を触りたくないし視界に入れたくもない。

「教えて、くださいな」

 血肉の壁は脅すように私に迫ってくる。


 原石銃(アガサ)を撃って、家屋に穴をあけるわけにはいかない。鉄糸を飛ばし、正面や壁を這う肉片を切り裂いていく。鉄糸をしならせ、肉塊と血溜まりを切り裂く度に生暖かい欠片と鉄臭さが鼻をつく。

「うぇ……ゲホッ……」

 臭い、ただ血の匂いだけじゃない。腐敗臭、死臭とも言える腐った臭いを直に吸い込み、頭がくらくらし始めた。

「レベリオはどこなの?レガリアさん」

 少しずつ、押され始めた。私が斬る速度よりも敵が肉片を再生させるほうが速い。

「……ぅぅっ……死んだ!」

「嘘」

 こちらの発言を一蹴する。

「私たちは、繋がってるの、教えてレガリア、でないと……」

 眼前で蠢いている血肉が形を変えた。一つの形を形成するように血肉が練られていく。

 今や私の真正面、小さな道を塞ぐように大きな人面が出来上がっていた。筋肉と血でできたグロテスクな人の顔。それが血の溜まった眼窩で私を見つめている。

「飲み込んでしまうわよ?」

 血液の歯で、筋肉の顎で私を飲み込もうとしている。

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