業務の一環です!というのは大抵の行動に建前を作れる魔法の言葉です:3
「……じゃあ何よ、貴女はメトラタのスパイじゃないって言うなら一体何が目的なの?」
こちらを挑発するようなこの女の態度は本当に腹が立つ。
「私は復讐、殺したいやつがいるの」
「原石武器持ち?」
「そう、んで同じ相手をロスも狙ってるの、だから私たちは協力してるわけ」
オリンピアの眼が、鋭く、真剣に細められる。
「けれどね、立ち向かうにはまだまだ力を付けないといけないんだ、私たち」
彼女の眼が私を見る。
睨みを効かせる感じではない。私を見定めるような眼だ。
「私に協力してくれるってんなら、これ返してあげるけど?」
財布を見せびらかすようにちらつかる。
「いやよ、それよりメトラタの『武器持ち』に話を戻してよ」
しょうがない、とでも言うような顔をしてオリンピアは続けた。
「メトラタとイグドラって、今は休戦状態じゃん」
三度続いた戦争の後、今両国の関係は概ね平和、少なくとも人とモノの繋がりはある。
「けどね、メトラタって成り立ちがイグドラからの分裂な上、まだまだ多くの組織が遺恨を抱えてるわけよ」
イグドラにもいる、隣国への恨みを声高に叫ぶ勢力は。
「特に恨みを持ってる過激派、その軸メンバーが『武器持ち』なのよ」
「もしかしてそのメンバーの中に……」
「レベリオはいたよ、ロス情報だけど」
ちなみにあいつもその過激派組織所属だから、と彼女はかぶせてくる。
(さらにロスさんの事がわからなくなったわ……)
「それで、もうじきその過激派連中から誰かがやってくるわ。消えた調査員と最新の原石武器を求めてね」
もう勘弁してほしい。捨てられるものなら原石武器早く捨ててしまいたいが捨てても手元に戻ってくるのだ。
「こんどはただの調査員じゃないと思うわよ、本気で貴女を取りに来る。この町の被害なんてお構いなしに」




