表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生まれ変わったのですが転生先がどえらいブラックです  作者: 早熟最中
どうやって仕事へのモチベーションって保つんでしょうか
137/203

時間が無限に欲しいと思うのはあるあるだけどね:3

「もう……!起きろったら!」

 剣を持っていないのが幸いしてか、意識が無い為か、ファルナを組み伏せるのは簡単だった。

 そのまま軽くビンタしてみるが表情すら歪めず目を瞑っている。あまり抵抗も無い所をみるとほとんど眠っている様子だ。

(この黒い糸のせい……?切れば起きるかな……そもそもレベリオは……?)


 組み合う私たちを置いて、白衣のレベリオはベットに横たわるレベリオを背負い部屋の窓から飛び降りていた。

「アイツ……!待ちなさいよっ!」


 とりあえずファルナを背負って追いかけようとした時、背後の暗がりから床が軋む音が聞こえた。

「……ああもう、本当に悪趣味でセコい奴!」

 部屋に横たわっていた死体達だ。

 彼らが動き出すにつれて、頭に例の嫌なざわめきが広がる。

 全てレベリオの『仲間』だ。彼が見せた暗い夢の中で繋っている、レベリオの夢の住人達。


「……ファルナ、建物の経費、どうにかしてね」

(すぐに、アイツを追いかけないと)

 私は原石銃(アガサ)を構え、レベリオ達が出ていった部屋の窓に狙いを付けた。


 窓ごと壁が破壊され、私は痛む腕でファルナを抱えながら下宿の外に飛び出した。

「──あっ!」

 ファルナを背負っていたせいで、重力に筋力が屈し膝から崩れ落ちる。


(追いかけないと……)

 急いで顔を上げる。だが、私の前にはレベリオが立っていた。

「悪いが、今日はさよならだ」

「なっ……」

 奴の手から黒い糸が噴出する。

(また眠らされる……!)

 糸が絡みつき、視界が黒く塗り潰されていく。


『近寄るなって、言ったはずよ』

 突然、視界が開けた。

 原石銃(アガサ)を持つ左腕が自然に持ち上がり、引き金を引く。

「──うがぁ!」

 拳銃の物にしては激しい発砲音が響き、私の意識が少し鮮明になる。

『逃しちゃダメ、コイツがイストサインを、レガリアの故郷を滅茶苦茶にしてる』

 思考が乱れる。私じゃない誰かが私の頭で物を考えている。

(塔子……本当に居るの?)

『一緒だって、いつも言ってるじゃん』


 視界が開けた。

「ああ、もう1人、子ども、死人、同じ、同じ、でも、違う」

 レベリオは腹に銃弾を受けた様子だ。大きく胴を抉られ、血肉が道に飛び散っている。

「……ッハハ……レガリア……くん……それと……もう一人……」

 腹を抑えるレベリオは座り込み下を向いている。

「君……たちは……いい……相棒の……よう……だ」


「レベリオ……いいえ、リーパー」

 腹を抉られたレベリオを睨みつつ、彼の背後で眠るもう一人のレベリオに銃を向けた。

「もう、観念しなさい」

 彼は無表情に私の銃を見つめている。


「ああ……そうだ……ね……君の魂……は……諦めて……おく」

 息も絶え絶えにレベリオは言葉を発した。

 言い切ると、糸の切れた人形のように倒れ伏し二度と動かなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ