腹を決めたら口に出して誰かに伝える!それが行動への第一歩!:5
メトラタの原石武器。
「貴方……メトラタから来てたの」
そこでやっとレベリオの顔を見た。
「なによ、その顔」
はっきり言うと、彼に顔面という物は存在していなかった。
顔に当たる部分はぽっかりと黒い穴が空いているようで、その中にはまるで星のような光が散らばっている。
「顔?ああ、そうか、現実じゃ他人の顔だからね」
目もない、口もない、そんな彼の顔から表情を読み取る事は出来ないかった。
「まあどうせ夢だ、気にしないでくれ」
レベリオが手招きするが、近くに寄る気はない。
腰のホルスターに触れてみると原石銃はきちんと収められていた。
「レガリアくん、君はイグドラをどう思う?」
「……いきなりね」
「どうにもさっきから君をここから引っ張り出そうとしてる子がいてね、私は生きてる君と話がしたいんだよ」
(塔子の事を、言ってるのかな)
「イグドラは私の出身国、それ以外思うところはないけど」
「ああー単純な答えだ、良い生き方をしてるね君」
皮肉めいた言い方をされた。
「侵略国家だった事も、メトラタといい関係を築けてないくらいなら理解してるわ」
「そりゃそうだ、メトラタはイグドラへの反乱分子が集まって生まれた国なんだから」
そしてね、とレベリオが自分の顔を指差す。
「私達はイグドラへの反逆者、特にイシュヴァルカを殺す事を目的としている」
続けて私を指差した。
「それでレガリアくん、君にも協力して欲しいんだよ。あの女、原石の実験に取り憑かれた狂気の魔女を殺す為に」
それがメトラタからやってきた男、レベリオの目的らしかった。
「どうして、私がそんな誘いに乗ると?」
全く乗り気になれない、この男がメトラタからの刺客である以前にこれまで受けた印象に良い物が無い。
「私はこの国の罪深さをよく知っている。研究の為なら自国民の命を原石に食わせる事も厭わない国だ」
レベリオの顔が薄く輝き、先程見せられた映像が映る。
原石に人が取り込まれる映像だ。
「全てはあの王、イシュヴァルカの匙加減次第さ。君の家族、友人、恋人がいつ研究の為と原石に喰われるか、わからないだろう。奴はそんな女だ」
映像が消え、レベリオの顔に何も映らなくなる。
「君はまだ若い原石武器の所有者だ。この国に染まってはいけない。無駄に人の命を消費するこの国なんて」




