職場で出来る人間関係ってそんなに好きでもないのよね:2
「あのー……レガリア」
屯所に戻ると遠慮がちにファルナが話しかけてきた。
「…………」
「レガリア、監視の事本当にごめんなさい。その……気持ち悪いよね……隠れて生活覗かれて……」
グレイマンから話を聞く前だと、どんな反応をしていただろう。
「……ファルナ」
言葉を紡ぐファルナを遮って、彼女にある提案をする。
「はい!なに?」
「模擬戦、付き合ってくれる?」
「イヤーー!無理!折れる!助けてエドくん!!」
「レガリアー、手加減してやれよー」
「4!3!2!……1!はい私の勝ちぃ!」
屯所前の広い道、私とファルナの二度目の模擬戦だ。
素手で。
地面に抑えつけ後ろ手に極めた彼女の腕を離してやる。
「がはぁ……ファランさえあればあの程度の体術なんて……」
「ファルナーファラン無しで戦えるようになりなよー原石武器だけに頼ってちゃ足元掬われるよー」
ここぞとばかりに煽ると好戦的な表情でこちらを見てくる。
「ふふふふ……いい度胸じゃないの騎士相手に」
「やる気ね、でも体術だけならファルナ相手でも負ける気しないわよ?」
「言ってなさいよ、今度は這いつくばらせてあげるから」
「始める?じゃあどうぞ」
エドガーが私とファルナの間に空薬莢を放り投げる。
それが地面に落ちるのが合図。
彼女の拳が私の顔を取ろうとし──
その拳を奪い、ファルナを一回転させ地面に抑えつけた。
「イダダダダ!!いたいいたい!」
ついでの締め技も決めておく。
「相変わらず、格闘だけは強いよなぁ」
「強いっていうか!!そんな技見た事ないんですけど!!どこで習ったのよ!?」
「知らないの?柔道よ」
「ジュードーって何よ!?」
「へ?何って──」
ファルナの質問はすんなり答えられる物だった。
「……何のことだろ」
紡ごうとした言葉は、頭の何処かに消えてしまった。




