報告、ちゃんと細かい事まで伝えないと……どこまで言えばいいんだろ:2
(この人数の中で私しか知らない話とか……)
なんとか頭を働かせ出来事を噛み砕き説明する。
「謎の声に足音、そこに居ない誰かと会話する男か」
「物から自動人形を作り出す原石武器はよくある」
グレイマンがこちらに注目してきた。
「声の特徴については?」
老齢の騎士に鋭い視線を投げられて緊張する。
レベリオと会話していた時、私の耳に入った『声』はファルナの耳にまるで入っていなかった。
お陰で一人で説明する羽目になっている。
「最初は、ただ辿々しく単語を話したり、私の名前を言ったりしてたのですが──」
あの時、ファルナが現れた時。
「ファルナの姿を見た瞬間、声の態度が変わりました」
何処かで感じた事のある、生々しい憎悪を帯びた声。
(……どうして覚えがあるんだろ)
「……うむ、今はこれくらいで良い」
報告が終わり、グレイマンが大量の資料を取り出した。
「カティア隊長、後でレガリア君に報告書を作ってもらってくれ。これから話す事で印象が変わるかも知れない」
彼の腕は義手だというのに自在に動く、資料の束を取り出して私とエドガー、隊長に渡してきた。
「これから話すのはイグドラの機密情報だ。もし外部に漏らせば我々が処断する、いいな?」
手元の紙束に目を落とす。
「原石武器について、今朝方情報共有の承認が降りた」
書かれているのはイグドラの国家機密、騎士の操る魔法の武器、原石武器についてだ。
「……あのー、俺読んじゃったんですけど……このまま話聞いていいんですか……?」
「安心しろエドガー、この情報は今日から騎兵全体に共有される」
イグドラの技術、特に色鉄に関しては門外不出、ほぼ全てが機密扱いだ。
その中でも重要そうな原石武器が公開されるという事は、この情報も世間に知られていくのだろう。
「現在、イグドラでは14の原石武器を確認している」
軽く読んでみるとファルナレギア、グラドミス、グレイマンの名前。
一度戦場で会ったアルバートとロス、にっくきオリンピアに私の名前。
そしてイグドラの王イシュバルカ・イグドラシルの名前までが入っていた。
「グラドミスの鎧は失われたな、原石武器が破壊されたのは未だ嘗て無かったことだが」
グレイマンがちらと私を見る。
「剣に鎧に杖に籠手……グレイマン殿は車椅子……ですか」
「ああ、これは優れ物だぞ」
若干得意げに車椅子の車輪を鳴らす。資料には鉄の鎧になる、とだけ書いてある。




