あっ仕事増えそう:1
新たな遺体が見つかった。
朝、騎兵隊の屯所での引き継ぎの時。今朝ちょうどに発行された朝刊と共にその知らせを受けた。
「夜に広場で見つかった遺体は目立つ外傷こそ見当たらないが、顔面を酸のような薬品で溶かされ身元は未だわかっていない」
今日の目的地、病院までの道で私の隣を歩くエドガーが朝刊を読み上げている。
昨晩見つかった遺体がもう記事になっているとは、イストサインの記者達は勤勉なようだ。
「当方ではイストサインで連日起こる殺人事件との関連性を疑っており被害者はまだ増えると思われる。だと」
エドガーが私に新聞を渡す。
見出しには『イストサインに殺人鬼の影あり』と書かれてあり、遺体の写真まで載せられている。
「街の不安を煽ってくれるぜ、書いた記者もいい性格してるって」
「……ねえ、これリーパーがやったのかな?」
またイストサインで1人殺された。
悲惨な事件であるが、私は新聞で見る遺体に違和感があった。
「どうしてまた?」
「……死体は顔を溶かされてるってある」
最初の事件は四分家族が殺された。
「けど一昨日の件が起きる前までは、死体にそんな跡は無かった」
外傷のない遺体、痕跡は異臭。
「それに今までの事件現場……家屋か路地、目立たない場所で人を殺してた」
二件目は路地裏で、男性が1人。
場所はイストサイン内の危険地帯、サインエンド。
原石銃が反応して向かった路地裏で見た外傷の無い死体。
「急に別の犯人が出てきた……そんな感じ」
「リーパーの件と関係が無いって思うか?」
「……そこまでは自信ない」
三件目、サインエンドとイストサインの中間。
原石銃の反応の先、出会ったのは酸を撒き散らす腐肉の巨人。
「でも、今回は事件の質が違う……」
死体が発見されたのは目立つ広場、まだ記憶に新しい『腐肉の巨人』と関連付ける事が目的のような、酸で顔を溶かされた遺体。
『気をつけてください、この街にはもう一つ別の勢力が潜んでいる』
ロスの言葉を思い出す。
彼はあの時、はっきりと警告してきていた。
「怖いなぁ」
目的も、正体も不明な『誰か』がイストサインに潜んでいる。
それが私に恐怖感を与えてきた。




