焦っても事は進まない、落ち着いてやりましょう:2
カティア隊長は会話をしながら凄まじい速度でメモを取っていく。
「とりあえず騎兵のしばらくの方針は……巡回の強化と各地域での声掛け……それから……」
呟きながら今後の方針を建てる隊長の顔は険しく、若干周りが目に入っていない様子だ。
「あのー隊長さん?」
「なんだ……でしょうか?」
ファルナと会話する隊長の口調はどこかおかしい。
「しばらく休んだ方が良さそうよ?ファルナ達も報告来てから立ちっぱなしだし」
そんな発言をしたファルナの度胸に驚嘆した。と言うか騎兵内にカティア隊長に向かってそんな事を言った者は未だ嘗て居なかった。
「む……そうだったな、二人とも休んでくれ」
「隊長さんも」
ファルナが隊長に顔を近づけた。
私としては気が気ではない、仕事の鬼なカティア隊長が一体どんな反応をするのか──
「……そうだな」
私は自分の目を疑った。
隊長は額に手を当ると、資料とメモ帳を閉じ机から離れた。
「とりあえず、昼食にしない?みんなで?」
ファルナが眩しい笑顔で私達を見る。
(隊長と休憩!?)
チラリとエドガーの方を見ると、彼と目が合った。
お互いの視線の間にも緊張の糸が走っていた。
現在、イストサイン騎兵の昼食問題は深刻である。
理由は騎兵イストサイン支部の建物が文字通り潰れたからだ。現在建て直しを予定中である。
今までじゃ支部の食堂では格安で定食が食べられたが、建物が無ければそんなサービスを受けられない。
よって昼食は各家庭から弁当を持ってくるか街の屋台で食べるしかない。
だが弁当を持ってきても狭い騎兵屯所には置き場が無い、一応簡易の物置はあるが、銃弾やら履帯やらがごちゃごちゃした場所に弁当を置くのは……正直あんまりだ。
結果屋台に向かうのだが、平日イストサインの屋台は当たり外れが大きい。
「…………」
イストサイン昼時の憩いの場、屋台通りまでの道。
隊長は黙って先を歩く。
「……隊長って普段何処でお昼食べてるんですか?」
「屋台で適当に済ませているぞ」
若干の沈黙。
「隊長好きな食べ物は?」
「揚げ物」
この人足が速い。置いていかれそうになる。
「……ええっと、苦手な物は?」
「無いな、何でも食べる」
「そうなんですか」
「…………」
(何喋ればいいのかわかんない!)
何の因果かわからないが、エドガーとファルナが仲良く喋っている前方で私と隊長が隣り合って歩いていた。
「ねぇねぇ、2人って幼馴染みなんだよね?レガリアって昔どんなだったの?」
「昔のレガリア?」
(やめろエドガー!喋るな!!)
エドガーの首を絞めてやりたいが、隊長の隣では下手なことが出来なかった。




