今日の終わりの時間です:1
「おーっすお疲れさん二人とも……レガリア大丈夫か?」
背中の方からエドガーの声が聞こえる。
私は往来のど真ん中、イストサインの石畳の上で内伏せに伸びていた。
「お疲れ様エドくん。今日は終わり?」
朗らかにエドガーに声をかけるのは、私を地面に叩きつけた張本人ファルナ。
「ウチは午後八時に終了なんで。騎士さんはその辺は?」
「私たちはいつでも勤務時間よ、まあ呼び出しあるなら国家規模の非常事態だし、割と自由に治安維持活動してるわ」
なんと羨ましい労働環境、代わってもらいたい。
「それはそれで大変な気はするな、おいレガリア、報告書出したし帰るか?」
「どうするレガリア?もうしばらく模擬戦していく?」
声をかけてくる二人を、私はうつ伏せで受け流した。
返答が出来ない訳ではない。
「……なぁレガリア、糸が空の一点指してるように見えるんだが」
何も言わない理由は、何も言いたくないから。
「レガリアー?もしかしてまた反応があるのー?」
二日前と同じく、突然原石銃が震えだし、身体から出た糸が一つの方向を指し示す。
原石武器が起動した方へ。
「走って走って」
「待って……エドガー……足が……もう無理……」
「走れレガリアー身体が騎兵の資本だぞー」
「当たり前だけど体力にも限度があるわね、弱点みっけ」
ファルナの分析が腹立たしい。
「レガリア、方向は?」
「右の方!近づいてきてる」
少しずつ、サインエンドに近づきつつある。
入り組んだ通りの陰で見つかるのは死体か、それとも原石武器を持つ殺人者か。
銃の震えが強くなり、ファルナ達から遅れながら路地に入る。
むせ返るような死臭が鼻をついた。




