真面目に仕事……真面目…………真面目かなぁ……?:1
「お疲れ様です」
「ああ、お帰り二人とも、お疲れさん」
エドガーの家で一泊した次の日、私とエドガーでサインエンドの調査を行った。
昨晩起きた事や、朝食の席での件は忘れたい。
「そっちで何か進展はあったか?」
出迎えてくれているのは屯所の駐在騎兵、結構歳を食っている。
「特にはない……ですね。明日はジャックの仕事先を追う予定っす」
今日の捜査は先日サインエンドで死亡した移民、ジャックの足取りを聞いて回る事だった。
「そうか、一応だがそこに報告書がある、どんな事でも書いておいてくれ」
「了解です」
時刻は既に夕刻、今日の捜査は終わりだ。
「……どう書くよ、何もなし……なんて書けるのか?」
「いや事件に関した事以外にも、エンドの移民から色々聞けたでしょ、愚痴とか」
「アレ書くの?全部?」
「全部って訳じゃないけど……今後の騎兵隊の治安維持に繋がる事とか……」
二人で頭を寄せ合い報告書の文字数を稼ぐ。
「こういう仕事任されるのは初めて、のようだな?」
私たちが言い合いながら報告書を書いていると、脇から駐在騎兵が声をかけてくる。
「え……ええ、そうなんです」
「騎兵になってからどれくらいだ?」
「半年です」
「へぇ、早いな」
結構歳を食っている老騎兵は感心したようにこちらを見る。
「知っての通りサインエンドじゃ事件が多い、移民がそこら中で喧嘩騒ぎを起こすし、ひったくりや強盗、殺人の通報は後を絶たねぇ」
老騎兵の顔は険しい、彼の深みのある表情もイグドラの危険地帯であるサインエンドで醸造された物なのだろう。
「あんまり、気負い過ぎるなよ。若い奴が頑張るのは良いが、それで潰れるのは勿体ねぇ」
エドガーが、何か言いたげにニヤつきながらこちらを見る。
「……助言ありがとうございます」
ニヤつくエドガーの足を踏み、そのまましっかり報告書を書き上げた。




