あー鬱、ネガティブ、楽天的になれない、休みたい、それでも明日はやってくる:3
「落ち着いた」
「うん、なにより」
大量の感情を吐き出したお陰で涙は引いた。
「ありがとね……その……話聞いてくれて」
「ああ、うん、お前が結構ギリギリだったのはよくわかった」
そうだ、ここ最近で私の身のま周りで起きた出来事。
「そうよ、色々起こりすぎよ。騎士に命狙われたり、変な銃が身体にくっついて離れないし、街で騎士やら悪の組織の女が暴れ回るし、殺人事件だって起きてるし……!どうなってんのよイストサイン!?就職して半年の騎兵が味わう仕事じゃないわよ!!」
「わかるぜ、よーくわかる」
「ねぇ、エドガーは騎兵の仕事好き?続けたい?」
最近よく考えることの一つ、騎兵やめたい。
だが、私は状況的にそうはいかない。
「騎兵か………まあ給料いいし、仕事も慣れてきたから辞める気ないな。学校まで通わせてもらったし」
「……だよねぇ」
学費は親に払ってもらった、到底返し切れる恩ではない。
そもそも騎兵はかなり上澄みの職だ、給金も低くはない。
辞めるなんて選択肢は取るべきではないのだ。
「お前は辛そうだな」
「うん……」
覚悟していない訳ではなかったが、私にとって騎兵の仕事は辛かったのだ。
「まあ、なんだ。本当にお前が辛くなってさ、騎兵が限界ってなった時はさ」
なんだか恥ずかしそうに喋っている。
「俺ん家の雑貨屋で働かせてやる。いつでも逃げ込んでこい」
最後まで聴いて、自分の耳が真っ赤になるのがわかった。
「……い……いいや、いい、そこまで落ちぶれたくない」
「おおい!」
「うん!寝る!お休み!出てけ!これ返してくるありがとう!!」
お茶のポットとカップを持ち、客間の扉を開けた。
扉の前に、アンナ──私の母がいた。
片手にお茶の入ったカップを持って。
「……がっ……は…………母上……」
母さんは無表情のままカップを渡してくる。
「……っ……ぐふっ……」
閉じた扉から、母が吹き出す声が聞こえた。




