たぶん日本最初の悪役令嬢
○オーダー。
:悪役令嬢。
(作者返答) : そのワードは難しいと思われます。
今回は、ある意味残酷な描写があります。
調べものは、Wikipediaさんで。
悪役令嬢。
悪役令嬢 (あくやくれいじょう)とは、小説、漫画、アニメ、コンピュータゲームなどのフィクションに登場するキャラクター類型のひとつで、作品中で悪役として扱われる令嬢のこと。
また、日本のオンライン小説を中心に悪役令嬢を題材とした作品ジャンルを悪役令嬢もの(あくやくれいじょうもの)というが、これについても本記事で扱う。
だ、そうです。
なろう小説に慣れ親しんだみなさんなら、なんとなく作品を思い浮かべることもできるのでは?
日本神話において、さすがにこいつはいねぇだろうと思いましたけど、なんと、いるといえばいるのですよね。ざまあされる方のやつが。
文献によって立ち位置が違うのは毎度のことですが、まさか、加害者と被害者が逆転するとは……。
その驚きの話を、小話を交えて語っていきたいと思います。
「イワナガヒメ! 妹の コノハナサクヤ に対するあまりにもむごい仕打ち、見過ごすことなどできん! 婚約は破棄させてもらう!」
『おのれ…………。どいつもこいつも、父でさえも、皆口を揃えて、姉は醜い。妹は綺麗で可愛いと…………。もう、我慢ならぬ。父よりかけられた加護をもって、貴様らを道連れにしてくれようぞ!』
「お姉さま! お止めください! どうか、その憎しみはこの私だけにぶつけてくださいませ!」
『もう遅い!! 術式展開、《永久の石長》!! 術式反転、《刹那の宿業》!!』
「お姉さま……。せめて、私の手で。……領域展開、咲き誇れ! 《月花咲乱》!!」
「なんという術だ……。永遠の刻を刹那の一瞬へと変えてしまう イワナガヒメ の術式を、種が芽吹き花が咲きまた種を落とす循環に合わせることで、刹那の一瞬を永遠の循環で打ち消している……。国津神の神力、侮れぬ……」
『……お、おのれ……。口惜しや……』
「お姉さま……。私、お姉さまの分まで幸せになるわ……。どうか見守っていてね……」
……などという決戦があったかどうかは分かりませんが、天孫降臨の折、天孫たる 邇邇芸命 (ニニギノミコト) と出会った 木花之佐久夜毘売 (コノハナノサクヤビメ) には、姉の 石長比売 (イワナガヒメ) がおり、 ニニギ が サクヤ に求婚(注1)したことで姉妹の父 大山津見神 (オオヤマツミ) は姉妹それぞれに願をかけ(注2)送り出すことに。
しかしながら、花が咲くような美人の コノハナサクヤ に対して、ゴツゴツした岩のようなぶちゃいく顔の イワナガ は憐れにもワガママボーイな ニニギ に「ブスは要らぬ」と拒否られたことで激怒。
妹と一夜を共にしている ニニギ ごと、屋敷に火を放ち呪いをかけましたとさ。
それが、今日まで続くこの国の歴史と人の寿命に繋がっているというのが天孫降臨にまつわる裏の説だったりするのです。
岩のような永遠は、図らずも ニニギノミコト によって拒絶されました。
しかしながら、花のような繁栄は?
その答えは、なんだかんだで続いてきたこの国の歴史が物語っているのではと思います。
なんじゃこりゃーな小話にお付き合いくださりありがとうございます。
(注1) : 求婚というか、速攻で一夜を共にして一晩で懐妊、さすがにそれはおかしいと コノハナサクヤ をののしる ニニギノミコト 。(注3)
不貞を疑うワガママボーイに対し、サクヤ は屋敷に火を放ちその中で「二人の愛の結晶が真実のものなれば、無事に産まれてくることでしょう!」と願をかけ、無事に三つ子が産まれたことで、サクヤ の不貞の疑いは晴れた。
というのが表のエピソード。
(注2) : 父 オオヤマツミ が姉妹それぞれにかけた願は、
姉の イワナガヒメ には、岩のような永遠。
妹の コノハナサクヤヒメ には、花のような繁栄。
ニニギノミコト が姉妹二人を娶ることで、「永遠」の「繁栄」が約束される完璧な願だったものの……。
(注3) : 天孫たる ニニギノミコト は、 アマテラス と スサノオ との間に産まれた子のさらに子ども。つまりは、アマテラス の直系の孫です。
スサノオ の吐き出した猛気から産まれた天逆毎 (あまのざこ) が単身で娘を産み出しているように、ニニギ にも創造の力が引き継がれていたことでしょう。
また、コノハナサクヤヒメ の父 オオヤマツミ は イザナギ・イザナミ 夫婦の子でもあり、こちらもまた創造の力を強く引き継いでいたのでしょう。
ただし、ニニギ は自身の創造の力を認識していないようですし、高天ヶ原においても直接見ることはなかったのでしょう。
それが、サクヤ の不貞を疑うことに繋がるとは、何たる皮肉。




