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妖怪荘に住む妖怪たちと俺  作者: ツヨシ
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7


そこまで考えたところで三谷はふと思った。

ここには三人の女性が住んでいる。

そしてその三人が三人とも、日本でもトップクラスの女優かアイドルに負けない程の容姿の持ち主なのだ。

東北でもこの辺りはとびぬけて美人が多いところなのだろうか。

しかし三谷はコンビニやスーパーにはよく行く。

田舎だがコンビニやスーパーにはそれなりに人がいる。

しかしそんな美人には一人もお目にかかったことがない。

もちろん店に来ている女性をしらみつぶしに見ているわけではないが、あれほどの美人がそこにまぎれていれば、嫌でも気づくはずだろう。

しかしそんな女性には一度も会ったことがない。

飛び切りの容姿を持つ女性は、このアパートにいる三人だけなのだ。

――これは運がいいと見るべきなのか。

考えたが答えは出ない。

どちらにしても三谷の興味のある女性は猫山一人なのだから、他は関係がない。

三谷はそう思った。


そのしばらくは何事もなく過ぎた。

猫山とは相変わらずよく会うが、あいさつ以上の進展はない。

三谷は女性と話をするのはあまり得意ではない。

と言うよりも。どうでもいい相手ならいくらでも話ができるのだが、気になる女の子相手ではどうにも口が回らない。

――さすがにこれは、なんとかしないと。

幸い猫山は相変わらず少女の笑顔であいさつを返してくれている。

嫌われているとはとても思えない。

そうかと言って異性として興味を持たれているかと言えば、その辺はかなり微妙だ。

基本的には明るくて人当たりのいい女の子だ。

おそらくたいていの相手には同じ笑顔を向けるだろう。

――ほんと、どうしよう。

三谷にとっては何百回目のどうしようだった。


ある夜、三谷が部屋でいると、三谷の部屋の前を誰かが通った。

一階なので部屋の前を誰かが通るとよく見える。

夜なのでカーテンを閉めていたが、少しの隙間がありその前を通る人物が見えた。

一瞬見えたその人物は猫山みみだった。

しかしその一瞬、三谷は猫山の頭の上に何かが見えたような気がした。

頭の上に何かがついていたような、ついていなかったような。

三谷は少し考えたが、思い切ってカーテンと窓を開け、そこから首を突き出した。

しかし猫山の姿はもうなかった。

直前にアパートの入り口を開け閉めする音がしたので、猫山はもうアパートの中なのだろう。

――何だったんだ、今のは。

一瞬のことだったが頭の上に見えたもの。

三谷はそれをどこかで見たように気もした。

そして自分の記憶を探ってみたが、はっきりと見たわけでもないので、結局思い当たるものは浮かんでこなかった。


猫山が学生だと知ったのは、猫山の頭の上に何か見えてから数日後のことだった。

管理人との世間話で話題に上ったのだ。

近くに小さな小学校と中学校はあるが、高校すらここにはない。

おそらく大学生なのだろうが、一番近い大学までも車で軽く一時間はかかる。

猫山が原付を持っているのは知っているが、あれで通っているのだろうか。

往復三時間近くかけて。

調べてみると、当然のことながら大学の近くには学生用のアパートがいくつもある。

そこがすべて埋まっているとは考えにくい。

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