表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖怪荘に住む妖怪たちと俺  作者: ツヨシ
3/29

3

派手な顔立ちの管理人が嫌な顔をすると、けっこう迫力がある。

三谷はそれを聞いて確信した。

管理人と九津は知り合いで、なおかつ管理人は九津にいい印象を持っていないという事実を。

そうかと言って「お知合いですか」と聞くのも気が引ける。

どういった間柄なのか、過去のこの二人に何があったのか。

気になるところではあるが、三谷はそれ以上詮索するのはやめておいた。

それにしてもよけいなこととは。

九津は以前何かやらかしたのだろうか。

あれだけスタイルが良くて飛び切りの美人。

おまけに表情は豊かとはいえないが妙に憂いがありなんだか色っぽい。

まだ二十代であの雰囲気をまとう女性は珍しいと言えよう。

色恋沙汰に関してかなりの手練れという印象を受ける。

ひょっとすると魔性の女なのかもしれない。

三谷はそう考え、魅力的な女ではあるが九津とは少し距離を取ろうと思った。


そんなある日のこと、また入居者が来た。

今度は男で三十代くらいに見えた。

目鼻立ちのはっきりとした個性的な顔の男で、特にその口が大きかった。

個性派男優としてやっていても不思議ではないほどの、かなり目立つ顔だ。

しかも三十代に見えるのに、昭和の少年のようなおかっぱ頭をしているのだ。

それが彼の顔に妙にあっている。

亀田又彦。

そういう名前だった。

声も大きめで、やけにはっきりと通る声をしていた。

演説とか実況でもすれば、ぴったりだと思える声だ。

部屋は四号室。

三谷の隣だ。

ひょっとして上の十号室に入るのではとも思ったが、二階で九津と二人きりになるのを管理人が避けたようだ。

――ちょっとにぎやかになって来たな。

三谷はそう思った。


ある日、三谷が玄関を出ようとしたら、管理人と亀田が話しているのが聞こえてきた。

その姿は建物の陰になって見えなかったが、二人ともよく通る声をしていたので、その内容はまる聞こえだった。

「そうなのよ。ほとんどアパートにいないのよ」

「それは大いに問題だなあ。どこかでなんかやらかしているんじゃないのか」

「やらかしているのはほぼ間違いないと思うわ。なにをやらかしているのかが問題だけど。とにかく心配よね」

「わかった。この俺が見張ってやるから、そんなに心配するな」

「それじゃあお願いね」

「了解、了解」

それ以降声は聞こえなくなった。

話の内容からして管理人と亀田はそれなりに親しい間柄であるということ。

そして亀田も九津を知っており、管理人と同様に九津を快く思っていないということだ。

管理人を含めて四人がこのアパートに住んでいるが、三谷以外の三人は顔見知りのようだ。

――みんな知り合いかい。

だからどうしたというわけではないが、三谷は少しのけ者にされたように感じた。

そしてやはり九津という女は気をつけなければならないと思った。


ある日の休日、三谷は釣りに出かけた。

釣りが大好きというわけではないが、たまにやりたくなるのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ