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妖怪荘に住む妖怪たちと俺  作者: ツヨシ
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近づいて聞いてみると。

「仲間が天逆海にさらわれたんだ!」

と何度も叫んでいた。

当の天逆海以外の住人が出てきて、亀田を取り囲んでなだめていたが、亀田は突然その輪を飛び出した。

「俺が天逆海をやっつけてやる!」

一番最初に動いたのは明神だった。

亀田の前に立ち、言った。

「あなた一人で行っても絶対に勝てない。ここにいる全員が命を懸けても、勝てるかどうかわからないのに」

管理人も割って入る。

「そうですよ。今行っては完全に無駄死にです。さらわれたお仲間も、そんなことは望まないでしょう。ここはどうかこらえて。機会を待ちましょう」

「でも……」

亀田はまだぐずっていたが、全員で優しく諭してようやく落ち着かせた。

明神が付き添い、亀田は部屋に戻っていった。

管理人が言った。

「聞いての通りです。天逆海は妖怪にとっても敵です。もちろん人間にとっても。三谷さんが頑張っているのはわかりますが、できるだけ早く封印の玉を育ててください。無理を言いますが、お願いします」

「わかりました。もっと頑張ります」

猫山が言った。

「三谷さん、頑張ってください。できる限り応援します」

「ありがとう。頑張るよ」

みんなに励まされていると明神が出てきた。

「三谷さん、私の部屋に来てくれないか」

「なんですか?」

「玉の成長を早める秘術がある」

「えっ、そんなのがあるんですか」

「ある。だから来てくれ」

「わかりました」

三谷は明神と一緒に部屋に行った。

入ると明神に座るようにと促された。

明神が言った。

「この秘術は私もそうだが、三谷さんの体に非常に負担がかかることになる。心配はない。死んだりはしない。しかしかなり疲れることになるだろう。それでもいいか」

「はい、いいです」

「うん、全く迷いのない、いい返事だ。みみちゃんが惚れるだけのことはあるな」

「えっ?」

「いやいやなんでもないよ。とにかく説明しよう。一瞬だが、私のエネルギーを大量に三谷さんに流す。すると気というか、三谷さんの体の中のエネルギーを今まで以上に多く流せるようになる。細いパイプを太くすると言った方がわかりやすいか。その分、エネルギーを流す度、玉を大きくする度に、疲労が今まで以上のものになってします。もう一度聞くが、それでもいいのか?」

「いいです。やってください。お願いします」

「わかった。ではやるぞ」

明神は三谷の肩に手を置いた。

そして目を閉じた。

しばらくして目が開かれた時、目は真っ赤に燃えているようだった。

「ふん!」

明神が大きく一声かけると、三谷の体の中に大量に何かが流れ込んできた。

――熱い、熱い、熱い。痛い、痛い、痛い!

まるで全身を炎で燃やされると同時に、鋭利な刃物で何十回とさされたかのようだった。

三谷はもだえ苦しんだ。

苦しい、熱い、痛い。

しかししばらくすると、ふいに全ておさまった。

明神が言った。

「三谷さんのエネルギーの流れは、今までの数倍になったはずだ。しかし私も自分のエネルギーを大量に使ったので、しばらくは休ませてもらうよ」

そう言うと明神はその場に横になった。

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