お兄ちゃんは歌が上手い!
「お兄ちゃんお兄ちゃん、これ見て〜」
「何でしょう、妹よ」
ある日、そう言って妹が差し出してきたスマホの画面に表示されているのは、一枚の男性のイラストだった。
「上手いな、これ。何、新しい推しでも見つけたのか?」
と、聞いてみると。
「違うよぉ!」
とニコニコ。何やねん。
すると妹御はこうお言い放たれになられたのだった。
「《これはお兄ちゃんです!》」と。
画面に表示されているのはレトロ和風なイケメンである。つまり妹には、
「なるほど、お前には兄はこう見えているのだな」
「調子に乗らないでください」
「敬語はリアルっぽくて怖いのでやめてください」
茶番である。不毛である。毛が無いのは父で十分です。
一息ついて妹はこう言ったのだった。
「お兄ちゃんはこの姿で歌ってみたを投稿するのです!」と。
「ふーん、なるほどね。お兄ちゃんはあれか、作中での呼び名的な」
「ちげえよお前だよ」
「女の子が汚い言葉遣いをしてはいけませんー」
「時にお兄ちゃん、うんことうんちってどっちがきれいな言い方なの?」
「うーん、うんこにもうんちにもそれぞれ良いところがあるしなぁ…どっちもいい奴なんだけどね」
「知らねぇですよ、はい。…話が進まないでしょ、お兄ちゃんのせいでー!」
いえ、あなたのせいでもあると思うんです。
「で、ちゃうってドユコトやねん」
「だーかーら!お兄ちゃんが歌って!それ録って!WeTubeに投稿するのー!」
「何でや、何でそんなことせなあかんのや」
必殺、適当に返事したい時のエセ関西弁。
すると妹は、ピースサインと共に大変に良い笑顔でこう仰るのだった。
「だって、お兄ちゃんは歌上手いもん!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
作者より
この度は拙作を手に取っていただき、ありがとうございます。ラノベはまるで素人ですので、色々ご指摘等も頂きたいです。面白いと思って頂けるように頑張ります!
それでは、よろしくお願いいたします。
ちなみに、ブックマークと星を入れて頂くと作者は嬉しさで毎回死ぬ仕様です。