2、病弱美少女剣士の誘い
つおい(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
朝
安物の薄いカーテンから朝日が漏れ、室内を薄く照らす。
コケコッコ〜と甲高い鶏の鳴き声が響き渡り、彼はいつもその声を目覚ましがわりに起きていたので条件反射で目が開く。
(なんだか昨日のことが思い出せない……)
「頭いてぇ、飲みすぎたな………」
寝ぼけながら時計を見た瞬間にエクティスは飛び起きた。
「やっべ!!遅刻じゃねぇ………ってクビになったんだった俺」
急いで服を着替えようとしたが途中で自身がどれほど空虚なことをしてるか気づいてしまった。
無意識にか意識的にかはわからないが、まだクビになった事実を認められていないのだろう、自分の女々しさに苦笑する
(……夢であって欲しかったがそんなものは都合のいい幻想だ、現実を見ろ)
と言っても………………そうすぐに現実と向き合えるのなら誰も苦労しない、俺はそのままベットの上で二度寝を貪る。
そうしていると呼び鈴が鳴り響く、どうやらお客さんのようだ………俺の家に客など滅多に来ないのに………タイミングが悪い………くだらんセールスや勧誘だったら即お帰り頂こう。
「お留守ですか〜?」
「………いますよ………何の用ですかーーー」
「お久しぶりですエクス師匠!!!」
「ーーーえ?、シャル、なんでお前ここにいるんだ?」
そこにはSランクギルド『群狼』のエース、シャルロット・シーファームが居た。
とりあえず、リビングまで彼女を通す。
「どうしたんだよ?『群狼』のエースがこんな所になんの用だ?」
「え?、用事なんかありませんよ?ただ近くに来たので挨拶しとこうと思いまして………あ、今回遠征のダンジョン『アルカトラズ』の最下層のボスを倒したのは私なんですよ?!!?」
「………そうか、凄いなシャルは」
「えへへへへ、そ、それほどでも〜、それもこれも全部エクス師匠のお陰です!!」
「………そうかな?」
「そうですよ!!、師匠の教えがなかったら今もきっと色んなギルドにクビにされてたらい回しになってますーーーコフッーー」
「ーーだ、大丈夫か!!?、シャル」
「だ、大丈夫、いつもの吐血ですから………」
「そ、そうか……」
………彼女は俺がまだ『焔光の鷹』に所属する前のギルド、『群狼』に居た時の後輩だ、彼女は体が病弱で腫れ物扱いされていた、しかし巫術師である俺はわかった、彼女は英雄の原石なのだと……。
彼女の守護霊はかの天才剣士、沖田総司だったのだ………実は守護霊はメリットばかりではなく、デメリットもあり、生前の短所も守護している人間に反映させてしまうこともある。
故に彼女は病弱だった………が、それを補ってあまりあるほどの剣才を持っていると確信した俺はすぐに彼女に指導させてほしいと頼み込んだ、これほどの才能が埋もれていくなど我慢できなかったのだ。
彼女も最初は半信半疑だったが、藁にもすがる思いで俺のことを信じてくれた。
「…………ハハ、シャルにそう言われてちょっと救われた気がするよ………」
「………急にどうされましたエクス師匠、何かありましたか?」
「あ、い、いや、その……….実は、あの、ギルドクビになっちゃいました………アハハハハハ」
「え?!!!?師匠をクビ!!?そそそそそれは本当ですか!!?!?」
「まぁ、巫術師はどちらかというと弱い部類の職業だし………仕方ないかなって………」
「アホですか!!!?、師匠をくくくくくクビにするなんて?!!、何と愚かなことを…………あれ?ってことは今師匠ってフリーですか?」
「あーーー、うんまぁ、これから新しいとこ探しにいくつもりだよ」
「な、なら!!、私の面接を手伝ってくれませんか?」
「へ?」
「じ、実はギルマスに新人の面接と育成を頼まれまして………一人では心細いので手伝ってくれるとありがたいです、師匠の一存で合否を決めて良いので!!」
「い、いいのか?俺なんかで?」
「な、何をおっしゃる!!、貴方ほど頼りになる男はいませんよ!!!」
「わ、わかった、じゃあよろしくな」
つおい(╹◡╹)