プロローグ
つおい(╹◡╹)
「お前クビな」
Sランクギルド『焔光の鷹』ギルドマスター室
ギルドマスターアーロンはなんの脈絡もなく一方的な解雇通告を俺に告げた。
白と黒がコントラストとなっている髪、ダークブラウンの瞳、中肉中背、何処か頼りなさそうな男………つまりは俺ことエクティス・ウォーカーはただ呆然と呟いた。
「はい?」
一瞬頭が真っ白になった、否、理解することを拒んだ。
しかし感情なんてものは時間が経てばたやすく冷やされ、冷静にさせられる。
冷静になってしまえば必然、相手の言うことを論理的かつ合理的に受け止めれてしまう、それが人間というものだ。
事実、俺はアーロンの言葉の意味を把握した。
だが、理解するのと解決するのはわけが違う、
理解したところで打開策がなければ破滅的未来しかない。
しかしそんな都合のいいもの俺に用意できてるわけもなく、額に脂汗をかきながら必死に頭を回転させるが時すでに遅い。
「だからクビだって言ってんの」
俺の都合などどうでもいいのだろう、容赦なく追い討ちをかけてくるアーロン、もちろん納得できるはずもなく猛抗議する。
「い、意味がわからないです!!なんでいきなり………」
さも面倒そうに眉を寄せる団長。
(……だがこちらも人生がかかっているので説明ぐらいされなきゃ辞めるに辞められない)
「はぁ……お前の担当しているパーティー、今月何回ダンジョン探索を失敗した??」
「な??!!!!、そ、それはパーティーメンバー全員がリーダーである俺の言うことを聞かずに好き勝手に動く奴らだからだ!!!」
返事は良いが、俺の指示とまったく違うことをやるアホ、そもそもこちらの言う事を聞く気のないバカ、ボケているのかそもそも会話にならないボケ老人………こんな劣悪なパーティーメンバーでどうやってダンジョンを攻略しろというのだ。
「はぁ………あのさ、パーティーメンバーを躾けるのもリーダーのシ・ゴ・ト……だろ?」
「そ、それは………そ、それにしたってアーロン、アンタがそこまで強くなったのは俺のアドバイスだし………他の有力メンバーだって俺の特訓メニューで強くなったんだろ?……なのにーーー」
これは事実だ、俺は他人の守護霊が見える巫術師だ、あまり戦闘向きではないが、多少味方のサポートができる………そして一番役に立てる点は味方のトレーニングメニューをアドバイスすることだ、これにより守護霊の力を引き出しやすい精神と肉体へと育てて、守護霊の力を遺憾無く発揮出来るわけだ。
そして極めるとその守護霊の生前となんら変わらぬ力をその身に宿すことができる。
巫術師は別に優秀でもなんでもない、守護霊の人生などは異世界の言語だから分からないし、スキルで文字に変換しても日本語が読めないのだ………何故俺は読めるかって?俺の守護霊が日本のヒキニートだからだ………もっと強い英雄が憑いていれば無双できたんだが………。
……………ちなみにアーロンの守護霊はかの東方最強の剣士、宮本武蔵玄信、偽・二天礼法、その腕前はかのツバメすら落とす異形の長刀を使う剣豪、佐々木小次郎すら負かすほどである。
「ーーーーだからいつまでも面倒みてくださいってか?、甘えるのも良い加減にしろ!!!!、事実、ギルメンが成長した後お前はギルド『焔光の鷹』に何か貢献んしたか?、してないのならやめてもらうしか無い」
アーロンは威嚇するように机を思いっきり叩く、その後汚物を見る目で俺を睨む。
「そ、それなら新人育成に当たらせてくれ、俺の職業、巫術師はダンジョン探索よりそっちの方が向いてるのは知っているだろ?、も、もともと新人育成に当たってた俺を無理やりダンジョン探索に引っ張って来たのはお前なんだし………」
「だめだ!!、もうすでに新人育成役は決まっている、お前が入る隙間はない」
「そ、そんな………」
「……………そうだ、お前のクビ考え直してやってもいいぞ、俺のいうことを聞けばな」
「え?!?!、な、何をすれば良いんだ?!?!」
「靴を舐めろ」
「………え?」
「聞こえなかったか?、靴を舐めてピカピカにしてくれれば考えてやると言ったんだ」
「な?!!?………冗談きついぜ、笑えねーよ……」
「………悪いが私は冗談が嫌いでね……ま、無理にとは言わない………やりたくないならとっととでてけ」
「………くそ……」
どうやら本気らしく、今の俺にはこの屈辱的な条件に従うしかない…………跪き、今まさに靴に口を付けようとした瞬間、アーロンは俺の顔を蹴ってきた。
「ッッーーーー、な、何しやがる!!?」
「やっぱいいわ、お前なんかに靴舐められたら逆に汚ねえ………」
「て、テメェ…………」
「さっさとでてけ、ほら、最後の給料だ」
「…………………」
何も感情を挟まず無言で応じる。
エクティスは金が入った小さい袋を持ってトボトボ退室した。
つおい(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾