朝日に照らされて
声の主は麗君だった。
青みがかったその瞳には突き刺すような光が浮かんでいた。
「なんだお前は。」
男性は麗君を睨む。
「こいつの仲間だ。今すぐこいつを離せ。」
「ガキめ。どうやってここが分かったのかは分からんが早く出て行け。」
このままじゃ麗君が危ない。
そう思い私は叫んだ。
「麗君!私のことはいいから……‼︎」
言いかけた瞬間、私は口を丸められた紙で塞がれた。
「お前は黙ってろ。」
男性はそう言い、私の頭に何かを投げつけてきた。
と、その時‼︎
「やめろ‼︎」
麗君が顔の前に腕でバツ印を作り、私の前に立った。
私は思わず目を閉じる。
「……」
目を開けると、そこには腕にガラスが貫通した麗君の姿があった。
「!麗君」
私は口に入った紙を吐き出して、必死に叫んだ。
麗君は整った頬を歪ませる。
「いって…」
私は麗君を助けたいと思ったのだが、体がロープで巻かれている為どうにも出来ない。
私の視界は涙でぼやける。
いつのまにか空は藍鼠色になっている。
もう夜明けだ。
空には卵の黄身のような黄色い太陽がもうすぐで顔を出しそうだった。
その瞬間。
私の体に巻きついていた縄が解け、男性の背後でブロンズ色が特徴的な目がキラリと光った。
由宇斗君だ。
「なんだ…」
そのことに気づいた男性の言葉を遮るように、由宇斗君はチーターのように速いスピードを出して走りながら監禁されていた人を助けるその光景はまるでサーカスのようだった。
「お前らも麻里子たちと一緒に逃げろっ!」
麻里子ちゃんと光太君、麗君と私の4人は慌てて外へ駆け出した。
「痛っ」
「ご、ごめん」
私たちは近くにあった公園で由宇斗君が帰ってくるのを麗君を手当てしながら待った。
「おーい」
声がした方に振り返ると、由宇斗君がこちらに走ってきているところだった。
「監禁されている人たちは一応病院に送った。多分さっきの男性はこのことを目撃した人を監禁しているのかもしれない。」
ゴクリ。
怖…麗君たちが助けてくれなかったら、私どうなってたんだろ…
ん?でも麗君たちはどうやってここが分かったの⁉︎
「れ、麗君はなんでここが分かったの?」
麗君は腕を押さえる。まだ痛いらしい。
「スマホの位置情報だよ。
今度教える。」
その後、数十秒の沈黙が続いた。
麻里子ちゃんは思い出したように口を開いた。
「あ、そうそう、コナラちゃんはどこで子供がさらわれていたのかとか、覚えてる?
あ、報告するの忘れてた。
そこで私は皆にメモを見せた。
「3丁目のあの曲がり角で男性が子供をさらうところを目撃し、尾行したところ廃墟になった遊園地に連れていかれるのを見た。
するとこちらに気付いて山崎っていう人に子供を預けてこっちに来たって事だな。」
「う、うん」
後ろで光太君が話す。
「この事件は俺たちで解決しなければいけない。
あの遊園地は観覧車が隠しやすいからそこの観覧車で子供が何かされているのかもしれない。」
私たちは息を呑んで声を揃えた。
「戦おう。」
6個の手が重なる。
太陽が皆の体を痛いくらい照らしていた。