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地球攻略編⑨~魔王の卵へ~

ご興味を持っていただきありがとうございます。

お楽しみいただければ幸いです。


本作のタイトルを改名した【ネトゲ廃人の異世界転生記】が発売中です。

アマゾン等で全国の書店にてお買い求めできるので、よろしくお願いします。

購入報告お待ちしております!

「五月雨バーニングフィスト!!」


 一発ではかき消された炎の拳も辺り一面へちりばめれば、いくつかは天使たちに当たる。

 一発一発がドラゴンナイトを跡形もなく消滅させる攻撃を行い、自分が着地できる地面を確保したい。


 ここから数十キロ先にある爆心地を目指すには飛んでばかりではいられないので、天使の攻撃を避けながら進む。

 炎の拳は最初の数発が相殺されただけで、残りの大半が大量の天使を巻き込んで突き進む。


 なんとか地面へ着地した俺はオーラを濃い黄色に変え、天使を薙ぎ払いながら疾走する。


「ライトニング旋風脚!!」


 蹴った反動でさらに加速し、天使が二度と立ち上がれないようにできるだけ首を切断していた。

 ゲームでの攻略法としては、隠密で隠れながら進むというものだが、今はその方法をとることができない。


(探知のスキルを使われるから、こいつらの半径2メートルでは隠密のスキルが役に立たなくなる)


 世界大会の時に天使を確保する際、隠密を使用しても意味がないように攻撃された。

 不思議に思って鑑定を行なった結果、隠密スキルの大敵である《探知》というスキルを使用されていたのが判明する。


 探知の熟練度レベルは効果の及ぶ半径なので、ひっかかれば隠密をしていても必ずばれてしまう。


 そのため、俺は隠れることをやめて、ここにいる全部の天使を相手にする覚悟で中心へ向かっている。


(衛星写真で中心を確認したから方向と距離は分かる! だけど、こんなに天使はいなかった!!)


 時間的には余裕があると分かってはいるものの、殺戮の天使一体がボスと言っても信じられるほどに強い。

 花蓮さんたちと同等以上の力があるモンスターを正面から相手にするのは非常に疲れる。


 オートガードで攻撃を防ぎつつ、進攻の邪魔になるモンスターを薙ぎ払いながら進むのが今のところ一番効率が良い。


「あった!! 魔王の卵!!」


 天使がまったくいない空間が現れ、黒茶色にへこんでいるクレーターの中心に神々しい白い卵が鎮座していた。

 卵の周辺からは黒い煙のような揺らめきが上がっており、立ち止まって状態を確かめる。


(硬化状態のまま……卵にヒビが入っていないからこれからか……)


 卵を注意深く見ていたら、俺の後ろから数十体の天使が襲いかかってくる。

 全員をパリィで卵の方へ弾き飛ばして、その姿を見守ることにした。


 すると、天使は俺に弾かれた状態のまま地面に伏せてピクリとも動かなくなり、黒い煙がいたるところから上がってくる。

 その煙は天使の全身を包み込むと、飛散して何もなかったかのように消えてしまった。


(自らを守るように能力を展開している天使も近寄れない【強制絶望の領域】)


 卵の周辺には1体の天使も姿がなく、今のようにここから1歩でも卵に近づくと黒い煙になって消えてしまう。

 この影響はモンスターだけではなく人間にも適用され、消えはしないものの、絶望して自ら死を選ぶという設定になっている。


 対策もなくここに来たわけではないが、強制的に絶望になるという状況をゲームでしか体験していないので、踏み出すのが遅くなってしまった。


(体力と魔力が減り続けるだけ……ではなさそうだからな……)


 卵に近づくと同時に、大量の天使が興味を失ったように俺へ近寄らなくなる。

 それを横目で確認していたら、急に思考が【死にたい】という感情で埋め尽くされた。


(死にたい、死にたい、死にたい、死にたい)


 何もしたくなくなり、呼吸さえわずらわしくなって膝を突きそうになる直前、右手の中指に着けた金の指輪が輝く。

 指輪に込めた魔法により、一瞬だけ意識を取り戻すことができたので、状態異常を回復させるキュアーをかける。


 再度右手の指輪へ自動で発動するようにキュアーを込めつつ、絶望という状態異常をなめていたことを反省した。


(根性でなんとかなるものじゃない。強制的に絶望状態にするってこういうことなのか)


 卵へ近づく前に死にかけた俺を救ってくれた、徳島のお遍路イベントで手に入れた金の指輪に感謝する。

 絶望なんて我慢すればなんとかなると思っていた自分の心が簡単に侵食され、少し歩いただけで体の自由が奪われた。


 もうそんなことにはならないように、キュアーを込めた魔力を体へ駆け巡らせ、状態異常にならないオーラを身にまとった。


(これでようやく普通に行動できる……魔王が生まれるとこのレベルの絶望を振りまいてくるから、絶対に孵化させないようにしよう)


 確実に卵へ近づきつつ、魔王だけは生まれさせてはいけないということを自分へ言い聞かせる。

 キュアーの効果で絶望にはならずに白に輝く卵まで辿り着き、あまりにも大きな物体を見上げた。


 遠くからでもはっきりと形や色が分かった卵は、高さが20メートル以上あり横幅は更に大きい。

 空神の力を借りてその卵の上へ乗ると、黒い煙が俺の体にまとわりついてきた。


 その煙は徐々に厚くなり、1分も経たないうちに視界や音などの五感から得られる情報が遮断される。


(ゲームではなんの対策もせずに卵に触ると即死だったけど、こんなことが起こっていたのか)


 おそらく、この黒い煙が絶望を付与させてくるので、オーラを解除した瞬間俺は何もできなくなるはず。

 ただ、この状態では卵の様子をうかがうことができないので、ここに来た意味が無い。


 俺は感覚の無くなった腕にあるはずのブレスレットへ魔力を込めて、その効果を発揮させる。


(引きこもりフィールド発動!)


 ファラオのダンジョンから見つけたブレスレットを発動させると、何者にも侵略されないフィールドが形成された。

 視界も良好で、俺へまとわりついていた黒い煙も無くなっている。


 このまま卵に変化が現れるまで座っているだけになったので、ようやく一息つけた。

 

 卵の上に引きこもってから4日経ったとき、卵が内側から割れようとしている振動を察知する。

 魔王が生まれる兆候が現れたため、卵の全体が見えるように宙へ飛び、ひびが入る瞬間をまばたきをせずに待つ。

ご覧いただきありがとうございました。

更新は1月25日を予定しています。


もしよければ、感想、ブクマ、評価、待ってますので、よろしくお願いいたします。


特に広告の下にある評価ボタンを押していただけると、大変励みになります。


令和2年9月17日より新連載を始めました。

同じローファンタジーになります。

ぜひ、こちらもよろしくお願いします。

https://ncode.syosetu.com/n7840gm/

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