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地球攻略編②~仲間へ〜

あけましておめでとうございます。

ご興味を持っていただきありがとうございます。

お楽しみいただければ幸いです。


本作のタイトルを改名した【ネトゲ廃人の異世界転生記】が発売中です。

アマゾン等で全国の書店にてお買い求めできるので、よろしくお願いします。

購入報告お待ちしております!

「これが不可侵領域にいたモンスターか……本当に羽が生えているんだな……」

「この槍を使って、高速で攻撃してきます。また、集団で行動するため、こうして1体だけ確保できたのは幸運です」

「なるほど……よくわかった……」


 説明を受けながら殺戮の堕天使を見た大統領は国連へ電話を行い、俺が討伐したことを報告してくれている。

 電話が終わると、周りにいた兵士に合図をして搬出の準備を始めた。


 その光景を見てから、大統領がこの場を立ち去ろうとしている。


「では、私は競技場にいる人へ説明をしてこよう」

「よろしくお願いします」


 競技場に集まっている人たちを治めるために大統領が颯爽とこの場から立ち去る。


「作業を始めましょうか」


 兵士の人たちと自分の背の丈以上あるモンスターを運ぶための作業を開始した。

 それから数時間後、国際連合へ堕天使を運び終えた俺はホテルへ戻り、自分がモンスターとして認定されていないことを確かめるために椅子へ座る。


「まあ……こうなるよな……」


 テレビやネットニュースはWAO一色となり、俺の写真とともに世界中へ情報が拡散されている。

 表彰式の場で、元会長が俺のことをモンスターと認定するということも報道され、それに賛成した役員や会議の詳細も明るみになった。


(内部通告者がいたんだな……それもそうか、好き勝手やっていたみたいだし)


 明らかに会議に参加していた人が録音していたとしか思えない音声や、会場中の様子が撮影されたものが流されていたため、WAOの活動を良く思っていなかった人がいたようだ。

 俺が国連へ提出した資料から、WAOの活動に賛同していた企業や団体もあぶり出されており、不透明な金の流れを突き止めている。


(これで冒険者を取り巻く環境が変わってくれるといいんだけど……)


 ある国ではWAOを通じて教育機関にまで兵器関連企業の金がつぎ込まれており、銃器以外を使用した冒険者の育成をしようとしていないことがわかった。

 逆に銃以外の武器を使用する人に対して圧力をかけていることがわかり、この状態が何十年にも亘って続けられたら、酔狂な人でもない限り剣や杖によるスキルについてのことなど誰もやりたくなくなるだろう。


(日本の弓道協会は腐っていたけど、こんな逆境の中頑張っていた方か)


 今、晴美さんが田中先生と立て直そうとしている弓道協会のことを思い出し、応援したくなってきた。


 テレビやスマホを見ながら忙しくなりそうだなと思いつつ、PTメンバーへ直接相談したいことができたので、ホテルの中を探すために部屋を出た。


(適当に歩いていれば誰かに会えると思うんだけど……)


 このホテルには世界大会に参加する選手だけではなく、サポートしてくれる人たちも泊まっているため、応援のために花蓮さんや俺の両親も来てくれている。

 そのため、知っている人に会う確率が高く、これから行う話を聞かれてしまうかもしれない。


(あー……極力抑えたいから、誰かの部屋に集まってもらうか……)


 部屋を出て数歩歩いたときに、万が一両親に聞かれた場合余計な心配をされると思ったので、電話をかけ始めた。


「もしもし! 一也様ですか!?」


 夜にもかかわらず絵蓮さんがすぐに電話に出てくれたので、お礼を言いつつ用件を切り出す。


「今起きているPTメンバーを集めていただけますか? これからのことで大切な話があります」

「わかりました……ギルド長にも来てもらいますか?」


 絵蓮さんは大切な話と聞いただけで、大体どんな内容か想像できたようだった。


(ギルド長を呼ぶあたり、俺の対応に慣れてきているんだな)


 いつも俺が何かをやった後には、ギルド長か佐々木さんがフォローに回ってくれているため、このような配慮をしてくれていると思われる。

 対応に慣れてくれた絵蓮さんに心の中で感謝をしながら、話を進める。


「そうですね。お願いします」

「わかりました。部屋は最上階の空いている部屋をとっておくので、30分後に来てください」

「ありがとうございます」


 手際の良い手配に驚きつつ電話を終え、どこまで話をするのか考え始めた。


(これからやろうとしていることを全部……いや、頼みたいこと(・・・・・・)だけにしておこう)


 やることがないので、集合時間になるまで休むために部屋へ戻ると、レべ天が椅子に座って呆然と待っている。

 レべ天はこれまでこちらから呼ばなければ来ることはなく、その姿を見て一瞬硬直してしまった。


(レべ天!? どうしてここに!?)


 戸惑いを隠しつつ、初めて自分の意思で俺のところに来たレべ天へゆっくりと近づく。


「あ、一也さん。待っていました」


 扉の閉まった音で俺に気付き、レべ天が顔を上げて笑顔を向けてくれた。

 そんな顔を見てホッとするわけもなく、妙なほほえみに警戒を覚えてしまう。


「どうしたんだ? 何かあったのか?」


 俺の緊張が伝わったのか、レべ天は笑い顔を少し困らせながら首を縦に振った。


「人類がモンスターによる絶望を覚えてしまいました」

「俺と空の戦いを見てそうなったのか?」

「いいえ、空くんが戦車をごみのように吹き飛ばした映像が主な原因です」


 付いていたテレビには、白いドラゴンが世界最新鋭の兵器を瞬く間に破壊していく様子が流されていた。

 大体の人が衝撃を受けており、見た人の中に絶望してしまっている人がいるらしい。


「これか……衝撃的すぎたかな……」


 その後にちゃんと俺が戦って空に勝っているため、映像を見ながらそこまで影響を受けるのか首をかしげてしまった。


(ここまで見れば大丈夫だと思うけど、辛抱強くないな)


 俺がテレビを見ていたら、レべ天が無言でリモコンを使って電源を落とす。


「どうするつもりですか? このまま絶望が広がれば、モンスターの勢力も増すんですよ」


 絶望がモンスターの力を倍増させるとレべ天は悲しそうに口にしていた。

 ぬらりひょんが京都の街を壊しながらそんなことを言っていたような気がしないでもないが、レべ天の口から聞くのは初めてだったので、苦笑いになってしまう。


「そんなこと初めて聞いたけど……まあいいや」

「まあいいってどういうことですか?」


 軽く捉えていると苦言を呈するように俺を見るレべ天の表情は険しく、先ほどまで諦めていたかのように暗くなっていた人と同一人物とは思えない。

 俺は気にせずスマホを見て、絵蓮さんと約束していた時間になっていたことに気が付いた。


「それも含めてこれから話をするんだ。お前も来いよ」

「えっ!?」


 いつの間にか涙目になっていたレべ天の手を取り、部屋を出るために歩き出す。

 レべ天の手を引きながら最上階へ向かい、仲間が待っている部屋を目指した。

ご覧いただきありがとうございました。

更新は1月7日を予定しています。


もしよければ、感想、ブクマ、評価、待ってますので、よろしくお願いいたします。


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9月17日より新連載を始めました。

同じローファンタジーになります。

ぜひ、こちらもよろしくお願いします。

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