地球攻略編①~一也の反撃〜
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「みなさん、今この会長から聞いたように、WAOは俺のことをモンスターであると会議で決めたようです!」
明に占ってもらっていた通り、WAOは世界大会最終日に俺のことをモンスターという認定をしていた。
この状況は事前に予想していたため、逆に利用しようとしていたら、タイミング良く大統領から密書が送られてきた。
「これは私利私欲で溢れているWAOの弊害で、会議に参加した人たちが企業からお金をもらっているため、こんなバカげた案の賛成へ投票させられています」
会議場の様子は事前に隠しカメラで撮影されており、大統領が用意してくれた会場の制圧部隊によって会議の様子が映像で流される。
「お前、私へこんなことをして生きてここを出られると思っているのか!!」
肩を撃たれた会長が他の役員に支えられながら立ち上がり、憤怒の表情を浮かべている。
今、この世界大会が行われている会場でWAOの会長が銃で撃たれるという非常事態になっても、護衛の兵が出てこないということに気付いていない。
俺は今ここで何が起こっているのか、競技場にいる人や映像を見ている人、特にWAOの役員たちへ知らしめる。
「逆ですよ。会長は状況がまるでわかっていませんね! 今、あなたを撃った兵士が所属している部隊はどこだと思いますか!?」
「はぁ!? ……国際連合の治安維持部隊!? どうして!!??」
国際連合の兵士は競技場だけではなく、観客席まで目を光らせ、WAOの関係者を誰一人として逃がすつもりはない。
「こいつの言葉はモンスターの言い訳だ!! 冒険者よ!! モンスターとそれを庇うやつらを殺せ!!」
相手が分かり、理解が追いつかない会長や役員は競技場にいる人たちへ、俺と国際連合の兵士を倒すように命令をしていた。
世界大会に参加している人の中には、俺を銃で狙おうとする人がいるので、ため息をつきながら首を振る。
「犯罪者の言うことなんて聞く人はいませんよ。ああ、すみません、まだ容疑者でしたね」
「何を言っているんだ!! 俺はWAOの会長だぞ!!」
会長の周りを国際連合の兵士が囲み、他の役員も即座に拘束できる準備が整った。
そんな中、なんにも悪事など働いていないと言わんばかりに役職を主張しているので、リュックに入れていた紙に書いてある文章を読み始める。
「組織の私物化、脅迫、不正受給……数えればきりがありませんが、全部読み上げましょうか?」
「なんだそれは!? 俺には身に覚えがない!!」
「残念です。国際裁判所から出頭命令が出ています。大人しく連行されてください」
俺の言葉と同時に国際連合の兵士が会長と全役員の拘束を行う。
少し前にはこんなことになるなんて思ってもみなかった会長は身をよじらせて抵抗していた。
「止めろ止めろ止めろ!!!! お前たちにどんな権限があってこんなことをするんだ!! 世界中の冒険者が黙っていないぞ!!」
「それはない。この命令は、国際連合の総意だ」
「はぁ!!?? ……あ?」
競技場の巨大スクリーンに国際連合の総会会議場と、議長の顔が映し出された。
会議場には各国の代表が参加しており、この競技場の映像が流れている。
「そこにいる佐藤一也より、WAOが組織ぐるみで不正を隠匿している証拠が提出された。それを国際連合の本会議で審議し、本日、WAOの活動停止が決定した」
「そんな!! 言いがかりです!! 不正なんて――」
「黙れ。きみには100を超える犯罪の容疑がかかっている。言いがかりと言うのなら潔白を証明せよ」
「そんな……」
会長の力が抜け、兵士に抱えられながら壇上を下ろされていく。
犯罪にかかわっていると思われる役員が拘束され、その様子も中継されている。
「世界大会に参加したすべての人へ、国際連合を代表して謝罪します」
ここに居てはいけない人が追い出されてから、議長が競技場へいる人に対して頭を下げた。
「我々はWAOの不正を発見することができませんでした。今回、佐藤一也くんが協力してくれなかったら、これからも汚職にまみれた活動を見逃すことになっていただろう」
淡々と語る議長の言葉が競技場内へ響き、WAOの長期間の不正や企業との癒着、会長やその他の役員が行なってきたことを語る。
最後、この決定に不服のある者や団体は国を通じて国際連合に連絡をするようにと口にして、議長との通信が終わった。
会場が静まり返り、全員がどうすればいいのか分からない中、俺は自分の獲得物を返してもらわなくてはいけない。
「俺が倒したモンスターをここへ持ってきてください!」
国際連合の兵士が殺戮の堕天使を保管してある場所を発見し、俺を案内してくれた。
その時、ようやく会場にいる人たちが自分のスマホで情報を確認し、WAOの活動が本当に停止することを知り始める。
俺が競技場を出ようとしたら、SPを引き連れた大統領がここへ来ていた。
「一也、よくやってくれた。きみのおかげだ」
「大統領も国際連合への議事提出、ありがとうございます」
作戦通りに事が進んだことを褒め合い、競技場にいる人たちのことを大統領に任せる。
笑顔で了承してくれた大統領は、興味深そうに俺の前を歩く兵士へ視線を移した。
「本当に不可侵領域のモンスターを倒したのか?」
「もちろん。依頼品なので、これから国際連合の会議場へ運んでもらいます」
「一緒に見ても?」
「どうぞ」
競技場にいる人たちには少し待ってもらい、俺は大統領と一緒に殺戮の堕天使が保管されている場所へ向かった。
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