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世界大会編⑯~個人戦開幕〜(太田真央視点)

ご興味を持っていただきありがとうございます。

お楽しみいただければ幸いです。


本作のタイトルを改名した【ネトゲ廃人の異世界転生記】が発売中です。

アマゾン等で全国の書店にてお買い求めできるので、よろしくお願いします。

購入報告お待ちしております!

 ハワイのダイヤモンドヘッドの麓にある競技場には、今日の世界大会個人戦に参加する選手が集まり、開始の合図を今か今かと待ちわびている。

 私も解体部門で日本一になったため、JAOの推薦で世界大会の個人戦へ出場することができた。


「先輩、緊張しているんですか?」

「私が? ……そう見える?」

「なんかソワソワしていますよね。どうしました?」

「一也様が見当たらないのだけど、真央なにか知らない?」


 絵蓮先輩も剣術大会で日本一になったため、私と同じように世界大会へ推薦されていた。

 私たちのPTの中で、花蓮ちゃんだけが個人戦の参加権を獲得できなかった。


(本人はこれ以上目立ちたくないから丁度よかったって言っていたけど、強がりかな……)


 二日前に行われた団体戦の映像はテレビでほとんど放映されることはなく、結果だけを伝えていた。

 しかし、発信源が分からないがネットで出回り、大きな反響を呼んでいる。


 その余波を受けて、花蓮ちゃんのSNSにもたくさんのメッセージが送られているのを見せてもらったが、海外からの反応が多くほとんど読めなかった。

 翻訳ソフトを使って内容を確認したら、ほとんどが一也やドラゴンについての質問などだったため、もう放置しているらしい。


(その一也がどこにもいないんだけど……どこに行ったんだ?)


 朝、ホテルで朝食を一緒に取ったため、ここにはいるはずだ。

 先輩も必死で探したものの、場内アナウンスで個人戦のルール説明が始まってしまった。


「一也様、どこにいるの……」


 アナウンスで納品したモンスターの金額により順位が決まると説明が行われると同時に、私のスマホが震え始める。


(え!? 一也から!?)


 大会説明が事前に配布されていた内容だったため、先輩へ一言伝えてから競技場を離れた。

 廊下に出て、大会に出ない多くの人が競技場を見つめている中、スマホの通話ボタンをタップする。


「もしもし、一也か?」

「あ、真央さんですか? 出てくれてありがとうございます」


 大会が始まる前とは思えないほど能天気な声が聞こえてきて、怒ろうとしたら周りの目が気になったしまった。

 冷静に話をしようと数回深呼吸を行い、耳に神経を集中させる。


「今どこだ? 会場にはいるんだよな?」

「いますけど、俺は1人で行動しようと思うので、真央さんからみんなに伝えておいてください」

「どういうことだよ!? お前、何をしようとしているんだ!?」


 一也の言葉に我慢ができずに勢いのまま怒鳴ってしまい、周囲の人から視線を集めてしまった。

 それを聞いた本人は私の必死さが伝わらず、ハハハっと電話越しに笑っていた。


「狩りですよ。俺はダイヤモンドヘッド以外へ行くので、皆さんとは別行動です」

「どこだよ。場所くらい言えるだろう?」


 笑い声に毒気を抜かれてしまい、先輩たちへ説明をしたいので、最低限のことをため息をつきながら質問した。


「秘密です。5日後の結果発表の日まで楽しみにしておいてください。それでは」

「おい! まだ聞きたいことが!」


 これくらいなら答えてくれるだろうと思ったことも教えてもらえないまま、一方的に電話が切られてしまった。


(みんなになんて説明すればいいんだよ……)


 頭を抱えながらみんなが説明を聞いている競技場へ戻ろうとしたら、大量の人が外へ出るために走り出している。

 何が起こっているのか分からず、廊下の隅に寄り、過ぎ去るのを待った。


(もしかして、もう始まっちゃったの!?)


 始まったのならいち早くみんなと合流しなければいけないのに、私だけ廊下に出ていたため先輩たちがどこにいるのか分からない。

 そんな時、人込の中から腕が伸びてきて、私の肩をつかまれてしまった。


 振り払おうとしたらその手も受け止められてしまう。


「よかった。ここに居たのね」

「先……輩……」

「こっちよ」


 先輩が私のことを見つけてくれて、人の流れとは逆に歩き始めた。

 競技場へ戻ると私たち以外の参加者がいなくなっていたが、夏美ちゃんや佐々木さんは安堵の表情で私を見ると安堵の表情を浮かべてくれる。


「真央さん、一也くんはなんて言っていましたか?」


 夏美ちゃんが心配そうに聞いてきており、私が一也と電話していたことを知っていたようだった。

 言われた通りのことをそのまま伝えると、佐々木さんがありえないと言いながらため息をつく。


「私たちは4人でダイヤモンドヘッドへ向かいましょう。あの人数が押し寄せているけど、5日もあれば1匹くらい狩れるわ」


 遠くから銃撃音が聞こえ始めており、もうどこかの選手がダイヤモンドヘッドに入ってミスリルタートルと戦っているらしい。

 その音はどんどん多くなり、私たちが行く頃にはモンスターが残っているのか不安になる。


 しかし、そんな考えは杞憂に終わり、現地へ行って幻滅してしまった。

 ほとんどの参加者がダイヤモンドヘッドのフィールドへ入る直前で銃を構えており、囮役が1匹のミスリルタートルを引き連れて、味方の射程範囲に入ったら帰還石で逃げるという方法を取っていた。


 それが数ヵ所あるダイヤモンドヘッドへの全部の入り口で展開され、1匹狩ったら別のチームに場所を譲っている。


(これが世界大会? 思っていたのと全然違う……)


 先輩は入り口がつまっている中、銃を誰も撃っていない時に人をかき分けてフィールドへ入った。

 私たちも同じようにフィールドへ足を踏み入れると、別の参加者から文句のような言葉が飛んでくる。


「順番を守れと言っているわ。先に進みましょう」


 無視をしてフィールドの奥地へ向かった私たちは、5日後にはダイヤモンドヘッドのボスだと思われる全身がミスリルで覆われた巨大な亀を討伐することに成功した。

 評価金額も群を抜いており、競技場にある電光掲示板の一番上に表示されていた。


「真央、後数分で世界1の冒険者よ。どんな気分?」

「どんな気分のなにも……これでいいのかって感じです……」


 フィールドの奥まで入ってきた人が私たち以外におらず、これで優勝してもいいのかと思ってしまった。

 そんな微妙な気持ちで結果発表を待っていたら、電光掲示板が切り替わる。


 最終的な順位が発表されるものかと思ったら、【審議中】と大きく英語で表示された。

 競技場にいたすべての人が戸惑いを見せる中、元凶だと思われる人物が私たちへ近づいてくる。


「みなさんすごいですね。あんな大きなミスリルタートルよく見つけましたね」


 あんなというくらいなので、一也も納品所で私たちが倒したミスリルタートルを見たのだろう。

 言いたいことが山ほどあり、人目があるので結果発表が終わってから言おうとしたら、1時間経っても電光掲示板の表示が変わることはなかった。

ご覧いただきありがとうございました。

更新は12月29日を予定しています。


もしよければ、感想、ブクマ、評価、待ってますので、よろしくお願いいたします。


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9月17日より新連載を始めました。

同じローファンタジーになります。

ぜひ、こちらもよろしくお願いします。

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