世界大会編⑮~団体戦終了〜
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空と盾で戦ったその日の夜。
俺は佐々木さんが手配してくれた豪華なホテルで休んでおり、次の個人戦に向けて準備をしている。
(今日の会場は広かったな……直すのにいくらかかるんだろう)
団体戦の影響で広い競技場がボロボロになったが、明日以降の競技は別の会場で行われるので、気にしなくても良いとギルド長に言われた。
大会の要綱には、試合の影響で施設等が破損した場合、WAOが代わりに修繕費を払うと書いてあったため、もう忘れることにする。
(次はハワイで個人戦……メイン会場はダイヤモンドヘッドの麓か……)
毎年世界大会の個人戦はモンスターの買取価格で勝敗が決まり、ダイヤモンドヘッドにはミスリルタートルという甲羅がすべてミスリルでできたモンスターがいるため、ここが会場になっていた。
大きくて獰猛なカメは全体的に防御力が高くなっているが、弱点の首を狙うことで簡単に倒すことができる。
(今の個人戦はカメの大きさランキングみたいになっているのが気に入らない)
買取価格は倒した人数でそのモンスターの金額を割ったものになるため、同率順位がかなり多く出てしまう。
それでも良しとしているのが、結果を見ていたら、個人戦という名の国別対抗戦ではないかと思ってしまった。
(ここに風穴を開けたいんだけどどうするかな……明日が移動日で明後日が個人戦か……)
ミスリルタートル以外に高価なモンスターを知っているが、今からどこにいるのか調べている日程的な余裕がなさそうだった。
レべ天に聞くのが一番早くて確実なので、明日の移動日に確認することができなくもない。
(レべ天に力を使わせると他の地域が怖いんだよな……)
レべ天は諦めた守護者のフィールドやダンジョンも監視しており、それのおかげでなんとか今は世界各地でモンスターが溢れていない。
しかし、守護神としての力を使うとどこかの地域が見られなくなるので、そこからモンスターが溢れる可能性がでてくる。
(気分転換にテレビでも見よう)
団体戦はかなり時間をかけて準備をしたが、個人戦についてはモンスターを倒せばいいんだろうとしか考えていなかった。
ホテルのテレビで今日の試合についてなにか放送していないか見ようとした時、部屋のドアがノックされる。
ドアを開けると佐々木さんが複雑そうな顔で立っており、何かを言いたそうにこちらを見ていた。
「どうしました? 何か用ですか?」
「用というか……入ってもいいか?」
断る理由もないので部屋へ招き入れると、佐々木さんが椅子へ持たれるように座る。
冷蔵庫から飲み物を取り出してテーブルへ置いてから俺も座った。
「ありがとう……今日の試合だが、いつからこうすると考えていたんだ?」
「本気のエンシェントドラゴンを倒したときからですかね……あの戦いに空が触発されて、俺と戦いたいって言うようになったんで」
しかし、空単体の力で成龍になるには力が足りなかったため、以前受け取りを断ったエンシェントドラゴンの宝玉を使うことでそれを補った。
(補うどころか、お母さんよりも強くなっていたから苦戦した)
今日、盾だけで戦って途中で何度か素手にしようかと思う瞬間があったため、楽しい時間を過ごすことができた。
おもちゃを片付ける面倒くさい時間を忘れて戦えたことが嬉しく、俺はもう個人戦で何と戦うかしか考えられない。
「そうか……個人戦はどうするんだ? 一也のことだ、普通にダイヤモンドヘッドでは戦わないんだろう?」
「そうですね……」
佐々木さんが核心を突くようにそのことを聞いてきたため、腕を組んで悩んでしまった。
一斉にあの山へ行って、銃弾が飛び交う中で戦いたくないので、できれば他の場所で狩りをしたい。
「ある国から密書を預かってきた。訳あってここには直接来られないため、ぜひ頼むとのことだ」
佐々木さんが胸ポケットから分厚い封筒を取り出して俺の前に置いた。
封筒は蝋のようなもので封がしてあり、流れるような細かい英語が書かれている。
(誰からだ?)
表や裏に何も書かれてなく、蝋で止めてある封筒に首をかしげてしまう。
「俺はこれで失礼する。明日の予定を確認しておいてくれよ」
「ありがとうございました」
立ち上がって見送ろうとしたら、手のひらを向けられて制止させられた。
「気を使わなくていい。それを頼む」
「……わかりました」
佐々木さんが退室してから封筒を開封し、中の紙を取り出す。
「なんで大統領から? どんな内容なんだ……」
英語の文章が並んでいる最後にアメリカの大統領のサインが書いてあった。
文章に目を通していると、主に2つのことについて書かれている。
(WAOの問題点を国連の会議で指摘することと、世界大会の不審な金の流れを追及か……)
正直、それをしたところでこのWAOの腐りきった内部はどうにもならないと思ってしまう。
花蓮さんの話では俺が空と戦っていた時、本部では兵器の企業とWAOの役員がもめていて大会の運営どころではなかったと言っていた。
(今さらこんなことをしても……ん?)
密着していたため今まで気付かなかったが、大統領の手紙が2枚あった。
引っ付いていた方の紙に目を通したら、俺は個人戦でモンスターと戦う場所が決まる。
(この計画通りに世界が動いてくれるのならやる価値があるのか?)
数十年間兵器開発の技術が発達してきても、未だに入った者がいない土地。
大統領からの手紙は読んだら燃やすように書かれていたので、洗面所で火をつけて灰を水に流した。
(行くか……人類侵攻不可領域へ)
そうと決まると俺はスマホを取り出し、個人戦が始まる時間に合わせて人類侵攻不可領域へのルートを確保に急いだ。
BGMとして付けたテレビでは団体戦の映像が流れており、これがCGかそうでないかの議論が聞こえてきた。
ご覧いただきありがとうございました。
更新は12月26日を予定しています。
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