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世界大会編⑭〜世界大会が蹂躙された日〜(谷屋花蓮視点)

ご興味を持っていただきありがとうございます。

お楽しみいただければ幸いです。


本作のタイトルを改名した【ネトゲ廃人の異世界転生記】が発売中です。

アマゾン等で全国の書店にてお買い求めできるので、よろしくお願いします。

購入報告お待ちしております!

 私が見せつけられたものは、最先端の戦車が一方的に破壊される光景だった。


 一也が空くんへ赤い雷を会場に降らせている。

 それにより、大多数の戦車や人がほこりのように舞い、地面に打ちつけられていた。


「これで大体終わったかな?」


 空くんの背中で満足そうに笑っている彼を見て、背筋がぞっとしてしまった。


(……この人はいつからこれを全世界へ見せつける準備をしていたの?)


 眼下で苦しがっている人たちが倒れているが、【誰一人として死んでいない】。

 そんな芸当をできるのは、おそらく空くんの雷による攻撃のためだろう。


(私も前、富士山で白いドラゴンと戦ったときに赤い雷で攻撃をされたけど、ぎりぎり生き残ることができていた)


 理由を一也くんに聞いたとき、微笑みながら訳の分からないことを言っていたので、もう一度同じことを質問してみることにした。


「空、ちゃんと片付けないと満足に戦えないから、もう1回できる?」

「ギャオオオオオオオオオオオオオオ!!」


 話しかけようとした時、私たち以外を全員戦闘不能にするため、空くんが咆哮を行い赤い雷を放つ。


「花蓮さん、どうかしましたか?」

「この雷は死なない雷よね?」


 ようやくこちらを振り向いた一也くんはニコッと笑い、両手を広げる。


「ええ、そうですよ。これは手加減攻撃です」

「どう見ても手加減しているように見えないんだけど」


 足元にいる空くんの攻撃で、一歩間違えればこの競技場は死屍累々になっていることだろう。

 戦車等の兵器はきれいに粉々になりながら吹き飛び、中に乗っている人はギリギリ死んでいないだけのようにしか見えない。


「死んでいないから、手加減していますよ」

「死んでいない……ね……」


 満面の笑みで一也くん基準を持ち出され、私と夏美ちゃんは目を合わせて苦笑いをする。


「じゃあ、降りて確認へ行きましょう」


 空くんの2度目の放出が終わり、再び一也くんの腕に掴まって地面へ降り立った。

 地面からは白い煙が上がり、競技場のフィールドごと対戦相手が焼き尽くされている。


「臭いがひどい……」


 鉄が焼けた臭いと何かが焦げたような臭いが広がり、思わず顔をしかめてしまう。

 隅に集められた焦げた人たちが唸りながら足元で転がっていた。


「うぅぅぅぅぅううううう……」


 その人たちを助けようかと迷っていたら、一也くんがさらに数歩近づく。


「みなさん!! おもちゃで遊んでいた気分はどうですか!?」


 こんな圧倒的な暴力にいたぶられた人たちに聞くようなことではないとは思いながらも、世間から受けたバッシングを考えたら同情できない。

 どこかはわからないが、私たちを精神的に潰すために、非難するような番組を意図的に作って放映した国が多くあり、宿泊していたホテルを囲われたこともあった。


(それを誘導した人はこれをどんな気分で見ているんだろう?)


 一也くんが兵器をあざ笑うかのように空くんで片付け、こんなにも他の人が弱いと嘆いていている。

 演技上手だなと思っていると、急に振り向いて私たちを見た。


「戦いがこれだけではつまらないと思うので、今から僕はこのドラゴンと戦います!! 2人は10分以内に、この人たちを競技場の外へ逃がしてください!!」


 そんな勝手なことをしていいのかと思っても、本部からの反応はなく、一也くんを止めるためのアナウンスも行われていない。

 私は一也くんが何度もアイコンタクトをしてくるため、ため息をついてから人の運搬を始める。


「夏美ちゃん、行こう。早く治療しないとこの人たち死んじゃいそうよ」

「そうですね。わかりました」


 夏美ちゃんも同じようなことを考えていたのか、武器を片付けて救助活動に移った。

 私たち以外には救助をする人がおらず、人を抱えて運んでいたら地下でようやく渡すことができた。


「まだまだ大勢いるので、上に来てくれませんか?」


 私が抱えられても2人なので、全員を運び終わるまで夏美ちゃんとここまで何往復すればいいのかわからない。

 助けを求めようとしたら、大人のスタッフは顔を真っ青にして首を小刻みに左右に振る。


「すまん……あのドラゴンがいるところに行けないんだ……」

「今は大人しいですよ」

「今だけだろう……」


 他の大人たちに目を向けても顔をそむけられるので、諦めて2人で運ぶことにした。

 対戦相手全員を競技場から出すまで1時間以上かかり、その間、一向に本部からなんの連絡もなかった。


(いったいなんなのよ……)


 地下にいるはずのここまで地響きが届き、一也くんが戦っている衝撃が伝わってきていた。

 人が居なくなった競技場では、一也くんが空くんと楽しそうに戦闘を開始しており、誰も止めようとしていない。


 私と夏美ちゃんが日本の控室に戻ると、ほとんどの人が競技場を映している画面に釘付けになっている。

 その映像を見ながら、今日行われたことが世界中へどこまで放送されているのか気になった。


(スマホで見てみよう……えっ!?)


 スマホで大会のことを調べたら、トップにライブ配信映像が表示される。

 タップをして映像を確認しても、一也くんがドラゴンと戦っており、この部屋にある画面と同じだ。


「「「「おぉー!」」」」


 他の情報がないか調べを進めていると、画面を見ていた人たちから歓声が上がる。

 空くんを一也くんが倒しており、それを見て声を出したのだろう。


(終わったんだ……これからどうするのかな?)


 放置された競技場には、この戦いが終わってもなにも連絡が入らず、放置されたままになっている。

 さすがにおかしいと思って、1人で大会運営本部へ向かうと、たくさんの人でひしめき合っていた。


 その中にギルド長の姿が見えたので、話を聞こうとしたら、いたるところからの声が聞こえてくる。


「会長を出せ!! なんであんなドラゴンが参加しているんだ!? 聞いていないぞ!!」

「どこにドラゴン禁止なんて書いてあるんだよ!! モンスターが登録されているのが読めないのか!!」


 内容を聞き取れて、英語を勉強しておいてよかったとほっとしながらも、ドラゴンのことで本部がもめていることがわかった。

 私も予告無しにあんなドラゴンが現れたら、戸惑うと思う。


(私が居ても無駄か……落ち着いたら聞こうっと)


 夏美ちゃんに本部で聞いたことを話してから控室で待っていると、ネットのニュースが更新された。

 一也くんが今回のドラゴンについて答えており、内容を読んで鼻で笑ってしまった。


「どうしたんですか花蓮さん?」

「夏美ちゃん、見てみる?」


 スマホを受け取った夏美ちゃんは呆れるように笑い、困ったように肩を落とす。

 ありがとうございますと言われながらスマホを返され、もう1度画面を見た。


【あのドラゴンは豆狸が変身したものです。ルール的に問題ありますか?】


 そこには平然とそう言っている一也くんの姿があり、私も空くんについて聞かれたらこう答えることにする。

ご覧いただきありがとうございました。

更新は12月23日を予定しています。


もしよければ、感想、ブクマ、評価、待ってますので、よろしくお願いいたします。


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9月17日より新連載を始めました。

同じローファンタジーになります。

ぜひ、こちらもよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 一也が空くんと白いドラゴンは赤い雷を会場に降らせる。。空と白ドラゴン2匹召喚したんですか?
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