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世界大会編⑧〜PT名について〜

ご興味を持っていただきありがとうございます。

お楽しみいただければ幸いです。


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購入報告お待ちしております!

「あれだけ頼んでおいたのに、普通忘れる!?」

「それについては本当に申し訳ないです」


 夏休みが終わって新学期初日の登校中、PT名を変えていなかったことで花蓮さんが頭を抱えている。

 俺も地球上を駆け回って、そのことを完全に忘れていたため、謝ることしかできない。


「あの時、私が変えていればこんなことにはならなかったのに……」


 花蓮さんが遠い目をしながらこんなことになるなんてと呟いてから、ジト目で俺を見てくる。

 名前を変えるタイミングなんてあったかなと思いつつ、花蓮さんと目を合わせないように歩く。


「全国大会の時ですか?」

「もっと前よ、PTを組むってなったとき」


 諦めるようにため息をついた花蓮さんは首を左右に振って髪を揺らす。


「そういえば、初めてこの名前が披露されたのは、静岡県大会のときでしたね」

「そうよ……一也に任せた私が悪いのかしら」


 昨日の夜に電話で抗議をうけて佐々木さんに確認をしたが、もう名前の変更はできないそうだ。

 企業の件で頭が一杯だった佐々木さんもPT名については忘れていたらしい。


 一緒に登校している夏美ちゃんが花蓮さんの横に付き、心配そうに顔を覗き込む。


「でも、昨日の花蓮さんの戦っている映像カッコ良かったですよ」

「……ありがとう。でも、そのせいでさらに悪化しているのよ……」


 花蓮さんが持っていたバッグからスマホを取り出して、ある画面を見せてくれた。

 そこには、昨日の動画とは別の臨場感あふれるジブラルタル山脈での花蓮さんの戦いが流れている。


「これ、別の人が撮った映像なんだけど、世界中に拡散されていて、私への問い合わせが後を絶たないの」

「世界中からですか?」

「そうなの……返信しないようにしているけど、今も増え続けているわ……」


 学校が近くなってきたので花蓮さんがスマホの電源を切り、カバンへ入れた。


(そういえば、今日はなにかあるのかな?)


 前日の電話で花蓮さんから今日は必ず登校するように言われていたのに、その理由を聞いていない。

 げんなりとしている花蓮さんに声をかけようとしたら、校門で挨拶をしている担任の田中先生がこちらを見てきた。


「よかった! 今日は来てくれたのね」


 なぜか嬉しそうに俺へ笑顔を向ける先生にどう答えればいいのか分からず、花蓮さんへ視線を投げる。

 すると、花蓮さんがあっと声を出して、田中先生に近づく。


「今日は世界大会に出る私たちの壮行会をしてくれるんですよね!?」


 花蓮さんは俺を一目見てから、確認をするように田中先生へ聞いている。


「ええ、そうよ。しかも、県知事や総理も来てくれるって聞いているわ!」


 田中先生は興奮気味に話しており、花蓮さんの棒読み説明を気にしていない様子だった。


(面倒なイベントがあるから俺に来いって言っていたのか……帰ろうかな)


 ただ登校して適当に過ごす気しかなかったので、そんなイベントがあるのなら来たくなかった。

 そもそも、今学校にいる一部の生徒は俺に校舎を破壊されている人もいるため、何か気まずい。


(たまに廊下ですれ違う時に早足になったり、露骨に避ける人もいるんだよね)


 帰るために引き返そうとしたら、花蓮さんと夏美ちゃんがそれぞれ俺の腕を掴んできた。


「まさかとは思うけど、一也くん帰ろうとしていない?」

「そんなことないわよね一也、ここまできたんだから、私たちと一緒に壮行会に出てくれるわよね?」


 PTメンバーの2人にはさまれ、逃げられなくなってしまった。

 無理矢理振り払うこともできるが、それをしたら今後の関係に影響が出そうなので、力任せというわけにはいかない。


「目立つことは遠慮したいかなーって思うんですが……」


 手を離してもらえるように壮行会へ出たくない理由を絞り出したものの、花蓮さんに鼻で笑われる。


「今さらでしょう。一也が目立たなかったことの方が少ないわ」

「そんなことは……」


 ないと口にしようとしたら、今まで俺が学校でやってきたことが脳裏をよぎった。


(杖で暴れたし、放課後に決闘もしたな……それにも……)


 花蓮さんの言葉で自分の行動を振り返り、学校に来て何かをしなかったことがあまりないことに気付かされる。


「じゃあ、3人はそのまま体育館へ向かってくれる?」

「わかりました。行くわよ一也」


 花蓮さんが返事をすると、田中先生が苦笑いをしながら俺が引っ張られるのを見送っている。

 もう出ないことは諦めたので、両手を離してもらおうと声をかけようとしたところ、夏美ちゃんが腕を強く握ってきた。


「ねえ、一也くん。大会どうするつもり?」

「どうって?」


 夏美ちゃんは誰もいない体育館の入り口に着くと立ち止まり、俺に何かを聞いてきている。

 しかし、質問の意図がわからないので、答えることができなかった。


 それを見ていた花蓮さんが俺の腕を離す。


「多分、夏美が聞きたいのは、世界大会に黒騎士として出るの? ってことだと思うわ」

「そんな話でした?」


 急に黒騎士の話を出されて驚くが、花蓮さんと夏美ちゃんの表情を見るに、そのことを聞きたいと思っているようだ。

 夏美ちゃんの言いたいことが大体わかったので、合っているのか確かめることにした。


「戦う相手が最新の兵器だから、俺が本気で戦う時の黒騎士になるかもしれないってことかな?」

「うん……どうなのかなって……」


 俺が黒騎士になるのかならないのかがそんなに重要なことなのか、2人が息を呑んで回答を待っている。

 世界大会()()()で黒騎士になるつもりはないので、はっきりと答える。


「なりませんよ。そもそも、相手が兵器だけを使ってくるなら、まともに戦いになるのか怪しいです」


 使用制限の無い大会で兵器だけを使うなんて愚行は俺ならやらない。


(戦いにすらならない可能性があるしな……)


 ただ、2人が俺の言葉を聞いてうつむいてしまったので、逆の意味にとらえている。


「そもそも、花蓮さんの大剣なら戦車くらい叩き切れません?」

「えっ!? やったことないけど……どうなんだろう……」


 花蓮さんが顔を上げて、戦車と戦ったことなんてないからと面白いことを呟いてた。


「俺はできると思っていますよ。夏美ちゃんもね」


 2人は困ったように苦笑いになり、俺の伝えたいことがわかってくれたような顔になる。


(2人が本気で戦ったら戦車に負けるはずがない)


 この2人も人としての力をとっくに超越して、最上級モンスターと戦える実力を持っているのでなんの心配もしていない。


 俺はその先を見据えて、世界大会で自分が何をしなくてはいけないのか改めて考えた。

ご覧いただきありがとうございました。

更新は12月5日を予定しています。


もしよければ、感想、ブクマ、評価、待ってますので、よろしくお願いいたします。


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9月17日より新連載を始めました。

同じローファンタジーになります。

ぜひ、こちらもよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] この二人ですらそういう認識になってしまうなら 他の人達ならなおさらだろうなぁ
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